第1回 なぜ、真のマネジメント人材が不足しているのか

マネジメント――どの会社でも、頻繁に使われる言葉です。

 「あの部のマネジメントは機能していない」
 「彼はマネジメントができる人だ」
 「マネジメントとしての視点を持ってほしい」

などなど。

しかし、「マネジメントとは一体何か」と問われれば、即答に困る方が多いのではないでしょうか。

マネジメントとは、組織と人が成果を上げるための考え方や仕組みです。
私にとって最もシンプルに、その本質をついていると感じるマネジメントの定義は、以下のものです。

 「マネジメントとは、部分の和よりも大きな全体、すなわち投入した資源の総和よりも
  大きなものを生み出す生産体を創造すること」(ピーター・ドラッカー 「マネジメント」より)

すなわち、投入した資源の総和と同じか、それ以下のものしか生み出せていないのであれば、「マネジメント」は機能していないということになります。人数はいても、お互いのコミュニケーションが十分でなく、十分なアウトプットがほとんど生み出せていない組織などは、このケースに当てはまります。

「マネジメント」と「創造」。
前者は、どこか受動的・静的なイメージで、後者は文字通りダイナミックで能動的な感じを受けます。この二つの言葉がすんなりとつながらない方も多いのではないでしょうか。

無理もありません。日本では、長い間、「マネジメント=管理」という訳のみで理解されてきました。企業においても、どちらかと言えば既存のものの管理という意味合いで捉えられてきました。

結果、多くの企業が今日「マネジメント人材不足」に悩んでいます。
既存の状況を維持・管理する能力だけでは、不確実で変化の激しい時代に真に成果を生むことができないからです。

「Manage」とはそもそも「何とかする」という意味です。
大きな希望や目的に向かって、様々な知恵やリソースを総動員して、問題を解決しながら進んでいく。
マネジメントとは、もともとはそういうダイナミックな意味なのです。

 「競争が厳しくて売れない」を「厳しい競争にも勝てるものを生み出す」へ。
 「この商品では売れない」を「全社を動かし、売れる商品を創ろう」へ。
 「あのお客様は要求が厳しい」を「あのお客様にも認めてもらえる価値を」へ。
 「あの部下は仕事ができない」を「彼の強みを発揮できる仕事は何か」へ。

考え方、着眼点をシフトすることが求められます。

もちろん、勤怠管理や情報管理、リスク管理など、比較的静的な仕事もあります。しかし、変化の激しい現在の競争環境では、マネージャーが「創造的に問題解決していく」という本来の役割を思い出すことがこれまで以上に求められるようになります。

最後に、マネジメントの父と呼ばれ、数多くの成果を上げるマネージャーを観察したドラッカーの言葉を再度ご紹介します。彼の信念と理想が強く表れている言葉です。

 「マネジメントとは、事業に生命を吹き込むダイナミックな存在である。
  そのリーダーシップなくしては、生産資源は資源にとどまり、生産はなされない。」(「現代の経営」より)

マネジメントの資質や考え方次第で、倒れかけていた事業が息を吹き返し、悩み行き詰まっていた人材が輝きを取り戻す。
マネジメントとは、社会と人間の幸福に直結する本当に大切な仕事です。
この「マネジメント」について是非皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

次回は2012年1月5日更新予定です。

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この記事の著者

PROJECT INITIATIVE株式会社 代表取締役

藤田 勝利

1972年生まれ。上智大学卒業後、住友商事、アクセンチュアを経て、クレアモント大学院大学 P.F ドラッカー経営大学院にて経営学修士号取得。ベンチャー企業執行役員として事業開発に従事後、2010年独立。次世代経営リーダー育成や新規事業の分野で幅広く活動中。著書:「ドラッカー・スクールで学んだ本当のマネジメント」(日本実業出版社)
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