第40回 否定的な顧客、苦手な顧客への対応…買う側と売る側の関係を解消し、営業しやすい関係を

ほとんどの営業の方が顧客担当者のタイプによって苦労することがあるでしょう。そして、苦手な顧客はいない、どの顧客担当者でもやりやすいという営業社員はあまりいないでしょう。いくら営業力の高い人でも、苦手な顧客ややりにくい顧客はいるものです。

  • 商品の説明や提案をしても反応が悪い、理解してくれない
  • 会社や商品に否定的なことばかり言う
  • 自分の都合や話ばかりでこちらの都合や話を聞いてくれない
  • 威圧的、偏屈でなかなか意見を言いにくい

このような状況は、そもそも顧客担当者との相性が合わないという場合もありますが、原因で最も多いものが顧客と営業の関係です。

  • 顧客と営業の関係が上下の関係(業者扱い)になっている
  • 顧客と営業が買う側と売る側の関係(買う側と売る側という意識の関係)になっている

この上下の関係(業者扱い)、買う側と売る側の関係は、課題解決型営業を進めるうえで大きな障壁になります。
本コラム「顧客との関係強化とは?」でもお話ししましたが、課題解決型営業とは、顧客に課題や悩みを言ってもらい、その解決策を考え理解させる営業、また課題を考え理解させ、解決策を一緒に考える営業であり、頼り、頼られる関係が必要です。

■第8回 顧客との関係強化とは? …課題解決型営業は「信頼の営業」

顧客との上下の関係とは、使う、使われる関係。つまり、顧客が考えたことを要求される営業です。

そして、買う側と売る側の関係は商品を説明して必要か否か、欲しいものか否かを判断してもらう関係になりがちです。

この上下の関係、買う側と売る側の関係では、

  • 要求され、応える立場になり、自らの要求や提案が通りにくい
  • 必要な商品か、適切な商品かが中心になり顧客の課題や状況の話になりにくい

その結果、

  • 顧客がもともと求めていた商品・提案でなければ、反応が悪い、理解してもらえない
  • 顧客がもともと求めていた商品・提案でなければ、会社や商品に否定的なことばかり言う
  • 自分の都合や話ばかりでこちらの都合や話を聞いてくれない
  • 顧客が上から目線の威圧的な態度、偏屈な態度になってしまう

そして、商品の提案や課題・ニーズの発掘も進めにくく、また条件の交渉やトラブル対応も進めにくくなってしまいます。

否定的な顧客になる上下の関係、買う側と売る側の関係はどうしたら解消できるのでしょうか?

よく、「うちの条件や要望をきちんと言ってこい」「もっと突っ込んでお客さんのことを聞き出せ」と指導しているケースを見受けますが、この上下の関係、買う側と売る側の関係を変えないと、
一生懸命商品をアピールしても提案しても、理解してもらいにくい……
条件を交渉してもこちらの都合を受け入れてもらいにくい……
そもそも、意見や要望、条件を言いにくい、聞きにくい……

まず、はじめにやるべきことは上下の関係、買う側と売る側の関係の解消です。

この関係を解消しなければ商品に対する反応も改善せず、条件交渉も不利な意識のまま進み、聞きたいことも聞きにくいまま営業活動を進めざるを得なくなります。
逆にこれらの関係を解消した対等な関係、頼り頼られる関係になると、商品のアピールや提案も理解してもらいやすくなり、また条件の交渉もしやすくなるのです。

では、上下の関係、買う側と売る側の関係の解消はどのようにすべきか?

一番の近道は、自分が売る側でなくなるということです。

つまり、いったん、売るということから引くことです。

商談や提案で商品を説明しPRしていて顧客の反応が悪くなった場合は、
「売ることから引く=売る・買うという話ではない<買わないでも良い、買わない方が良いという姿勢」で顧客と接することです。この姿勢により、いったん顧客の買う側、選ぶ側という意識や自分に対する売り込みという意識を解消し、対等な関係、自然な人と人との関係に変えやすいのです。

つまり、営業自らが、顧客に対し商品の弱点を話したり、顧客には合わないと伝えたりすることなどにより、商談の場で買う側と売る側の関係を解消することです。

自分の商品を否定することはいけないこと、顧客に合わないと伝えると買ってもらえる可能性がなくなってしまうと思い、引くことができず、顧客の反応が悪い、否定的なときでも一生懸命アピールしている営業を多く見受けます。

「御社のお話を聞くと、うちの商品は合わないかもしれませんね」(合わないという事実)
「おそらく、御社の場合……のような状況があるので、うちの商品を入れても難しいかも」(合わないと思う理由)

この商品の否定や買わない方が良いと伝えることと、その理由を説明することが買う側と売る側の関係や売込みという姿勢を解消し、自然な人と人の関係(対等な関係)を作るのです。

この買う側と売る側の関係を解消した対等な関係が、顧客の状況や課題が聞きやすくし、自分の意見を言いやすくし理解してもらいやすくするのです。
そして、そのあとに理解してもらえる提案のチャンスが訪れるのです。

お知らせ

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本コラムに掲載した「顧客との関係やコミュニケーション」に関する実践方法など営業活動の実践で活用できるノウハウを提供しています。

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次回は11月4日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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