第16回 状況判断・対策策定の三つのプロセス【2】

前回で、原因と問題点を見つけることができました。次は有効な対策・・・
今回は、いかに有効で適切な対策を考えるか
つまり、発見した問題点をどうしたら改善でき、目標を達成できるかというお話です。

営業会議で・・・
「活動量が確保できていない」「商談で顧客のニーズや状況を聞けていない」
といった問題がわかったとしても
「もっとやれるだろう、がんばれ!」「ちゃんと顧客に聞いてこい」
という指導(対策の指示)をしている場面をよく見ます。

・・・がんばっただけで活動量を増やせるのでしょうか?
・・・状況を聞けないから困っているのに「聞け」という指示で聞けるのでしょうか?

対策の材料は前回お話ししました「営業成果に影響する要因」であり、これがかなり幅広く、不確定要素が高い。
そのため、結局その材料となる「営業成果に影響する要因」の一部しか見られず対策が場当たり的になってしまう・・・

その幅広く不確定要素が高い「営業成果に影響する要因」から
適切な対策を策定するためには、下記三つのプロセスで考える必要があります。

【1】全体的な考察(ラテラルシンキング)
【2】本質的な考察(ロジカルシンキング)
【3】目標・計画との比較

~ 全体的な考察 ~   ・・・対策の模索

「事務作業が多くて商談件数を増やせない」
この問題の対策は、
「事務作業を減らす」「アシスタントをつけて事務作業の負担を軽減する」
といった「営業活動の時間を増やす」という対策もありますが、事務作業も必要性に応じて増えているため難しい。
そのため、結局商談件数を増やせない・・・

他に商談件数を増やせる対策はないのでしょうか?
「営業活動の時間を増やす」以外に「商談件数を増やさないで提案件数を増やす」
という視点で考えると
・「アプローチ時に顧客のニーズを確認し、商談時に企画を提案する」
・「パンフレットを改善し、営業スキルを上げなくても提案の率を上げる」
・「担当を業界ごとにし、同業他社事例を有効活用することで提案率を向上させる」
・   ・・・

対策というものは視点を変えればさまざまなことが考えられる。
その中で、適切なものを探すということが必要です。これが「全体的な考察」です。
しかし、人の視点というものは常日ごろ接している、考えていることに偏ってしまい、そのため、気づかない、考えられない・・・

この幅広い「営業成果に影響する要因」から適切な対策を探すためには、あらかじめ対策になりうる項目を標準化し、チェックできる環境が必要です。
つまり「この項目を考えなさい、この中から対策を考えなさい」という環境です。

~ 本質的な考察 ~   ・・・対策の実現性強化

「行動量を増やすため、毎日報告書を提出しチェックする」
こんな対策を立ててみたものの・・・
「直帰が多く、なし崩しになり、結局やらなくなった」

営業の対策は、かなりの確率で徹底できずになくなっている
・・・これが実態です。

これは、実践・継続できる対策になっていない、また改善につながる対策になっていないからです。

営業会議を見ていても、意外と対策を考えて終わってしまい、本当にできるのか、どうしたら徹底できるのかを考えていないケースが多い。

対策をちゃんと実践し改善を実現するためには、対策を見つけた後、実現性を考えなければいけません。
これが「本質的な考察」です。

この「本質的な考察」とは、
「どうしたら実現できる」「なぜ実現できる」・・・という対策の深堀です。
私の会社では、すべての対策に対して、
・対策
・具体策
・実現性
という三段階で管理しています。

「なぜ」「どうしたら」と常日ごろから深堀を意識することも大切ですが、これも思考力の問題です。
日常、雑多な仕事をしている営業にとって、考えるためのしくみがなくて「意識しろ、徹底しろ」というだけで考えられるのでしょうか?

~ 目標・計画との比較 ~

「これで活動量が増える、明日から頑張ろう!」で終わってしまう。
しかし、
「どのぐらい増やせるか?」と聞くと「だいたい月に5件ぐらい商談を増やせる」
「それで目標は達成できる?」と聞くと黙ってしまう。
こんなシーンも多い。

対策とは、目標を達成するためのものであり、売上や受注という目標達成につながるものでなければなりません。
そのためには、対策を策定した後で、目標・計画と比較し検証する必要があります。
そして達成できないのであれば、また「全体的な考察」に戻る・・・

皆さんの会社では、
この「全体的な考察」「本質的な考察」「目標・計画との比較」について
いくつ実践できていますか?

営業組織の対策を見ていると、場当たり的であったり、実現性が乏しかったり、目標を考えていなかったりしていることが多い。
これは、「営業成果に影響する要因」という幅広く、不確定要素の高い情報から考えないといけないにも関わらず、体系的なしくみやチェックする基準がなく、個人に依存しているからです。

営業の対策策定とは難しいものです。
しくみやプロセス、基準なく個人に依存していて適切な対策が実現するのでしょうか?
また、適切な対策なくして、
今日の容易でない売上目標の達成や受注獲得を実現することが可能でしょうか?

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株式会社セントリーディング  info@centleading.co.jp

次回は4月3日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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