第39回 仮説提案を成功させるには【1】…仮説の提案は情報収集とニーズ発掘のため

最近、営業活動で仮説提案を進めている企業が増えています。

顧客から要望や検討課題を聞いて案件を獲得するのではなく、営業自らが顧客の課題と商品による解決策、その効果の仮説を検討しその仮説を提案して案件を獲得するための提案です。

売上を上げるためにはこの仮説提案は有効かつ必要な手段だと思います。
それは、顧客からの要望を待っているだけでは必要な売上を確保できないため、顧客が言ってくれないニーズを積極的に獲得し、売上を上げる必要があるからです。

しかし、
せっかく顧客の課題や商品による解決策とその効果を考え提案しても
ほとんどうまくいっていない…
そして仮説提案をやめてしまう…

せっかく仮説を提案しても…
「必要ない」
「うちの状況は違う」
「分からない」
と言われてしまう。

でも、あくまでも仮説の提案です。

  • 顧客が課題を理解しているか、検討しているか分からない
  • 営業が仮の説として考えたことで正しいかどうか分からない

状況で考えた仮説の提案です。

この状況で仮説を提案して案件を獲得するパターンは以下の三つです。
営業が考えた仮説に対して

  1. たまたま課題を理解し、検討していたら案件を獲得する
  2. 気づいていない、明確になっていない課題を検討させ案件を獲得する
  3. 仮説がずれていたとしても他のニーズを聞き出し案件を獲得する

2の「気づいていない、明確になっていない課題を検討させる」という目的があるのに、「必要ない」で終わってしまう。
3の「仮説がずれていたとしても他のニーズを聞き出す」という目的があるのに、「うちの状況は違う」「分からない」で終わってしまう。

これでは仮説を提案する意味がありません。

なぜ、このような状況になってしまうのでしょうか?

一般的に仮説提案が失敗する理由は三つあります。
一つ目は、提案内容
二つ目は、仮説提案の目的を間違えている
三つ目は、仮説としてのプレゼン方法

提案する相手が合っていない、タイミングや状況が良くないといった理由もありますが、仮説提案において必ず気を付けないといけないことはこの三つです。

今回は、仮説提案の目的を間違えているという点についてお話しします。

前述の三つのパターンについて少し考えてみましょう。

営業が仮説として考えた提案を

  • 顧客がたまたま検討しているケース
  • 課題に気づいていない、明確になっていない(検討していない)ケース

どちらが多いでしょう?

顧客の課題の大半は、優先順位が低いという課題も含めて気づいていない、理解していないという潜在課題です。
おそらく、

  • 課題に気づいていない、明確になっていない(検討していない)ケース

の方が多いでしょう。

そして、顧客からの要望でなく営業が仮説として考えた提案が、

  • 実際の顧客の状況や課題を的確に言い当てているケース
  • 実際の顧客の状況や課題に対してずれているケース

どちらが多いでしょう?

いくら顧客のことを調べて一生懸命考えても所詮仮説です。
おそらく、

  • 実際の顧客の状況や課題に対してずれているケース

の方が多いでしょう。

ということは、仮説提案で案件を獲得するためには、営業が考えた仮説が

  • 顧客が気づいていない、明確になっていない(検討していない)ケース
  • 実際の顧客の状況や課題に対してずれているケース

この二つのケースを前提に提案する必要があります。

つまり、仮説提案では

  • 顧客に課題を気づかせる、明確にさせる(理解させる)
  • 仮説に対し顧客の情報を聞き出しながら他のニーズを発掘する

ことが成功(案件獲得)のPOINTです。

この「顧客に課題を気づかせる、明確にさせる」ためには、課題の原因やその背景を理解させられるかが重要。そのためには、課題の原因やその背景が一般論や抽象的な内容でなく顧客に合わせた極力具体的な内容であることが重要です。

そして、「仮説に対し顧客の情報を聞き出しながら他のニーズを発掘する」ためには、提案内容に対して必要がどうか聞くことよりも、提案内容に対する顧客の反応から顧客の情報を聞き出すことが重要です。つまり、仮説提案としてまとめた課題や課題の原因、その背景に対して顧客の実際の状況を聞き出すことが重要です。

普段の営業活動で顧客に提案するケースは

  • 顧客からの要望(課題や検討事項)を受けて提案するケース
  • 新商品等の商品提案(一般的な背景や課題を加えながら商品説明中心の提案)

この二つが多く、これらは提案内容や商品を理解してもらい、買ってもらう、選んでもらうということが主目的です。

そのため、仮説提案でも、説明して、提案内容(商品)を理解してもらう、買ってもらう、選んでもらうという意識で提案しているケースが多い……。
その結果、提案書の説明になってしまい「気づかせる、明確にさせる(≒説得)」「周辺情報・他ニーズを聞き出す」にならず、「必要ない」「うちの状況は違う」「分からない」で終わってしまい案件を獲得できないというケースが多いのです。

仮説提案で案件を獲得するためには、提案書を活用した「気づかせる、明確にさせる(≒説得)」「周辺情報・他ニーズを聞き出す」この二つの方法を考えることが重要なのです。

お知らせ

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次回は9月3日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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