第14回 営業マネジメント…指導力の強化とは?

さまざまな企業の営業に関わってきて、マネジメントがしっかりしていたら売上がもっと上がったのに、
と思うことが非常に多い・・・

前回で申し上げましたが、営業は不確定要素が高く流動的な状況の中で売上を上げ、目標を達成させる仕事。
そのためには、常に状況を把握し、的確に判断し、受注獲得・売上目標達成に向けた適切な対策を策定し、組織や部下を動かしていくことが必要です。

それなのに・・・
≪営業指導でよくある問題≫

  • 部下の状況、部下が抱えている顧客や案件の状況がよくわかっていない
  • 状況がわかっても、適切な対策がたてられない、指導できない
  • 一生懸命指導しているが、部下がなかなか理解してくれない
  • 自分の経験ばかりで指導し、部下がついてこられない
  • 部下一人ひとりを把握し、指導し、キャパオーバーになってしまう

最近では、個人主義から組織的な営業・戦略的な営業へと謳い、多くの会社がマネジメント強化を進めている・・・しかし、一向に改善しない
なぜでしょう?

そのマネジメント強化でよくみる施策が次のとおり
≪営業マネジメント強化でよくみる施策 ≒ 営業マネジメント強化の間違え≫

  • マネージャーと部下の関係改善・強化
    ・・・懇親会や酒席、各種イベント、人間関係を重視した人員配置
  • 部下とのコミュニケーションによる状況把握強化
    ・・・ミーティングや個別面談、営業同行
  • マネージャーの業務負担軽減による深く関われる環境
    ・・・チームの少人数化、タスクの細分化、アシスタントの設置
  • 対策につながらない情報の共有
    ・・・商談情報を入れるだけの営業・商談・顧客管理システム
    ・・・営業進捗や見込一覧だけの共有

これらが必要ないということではありません。
ただ、これらの施策の前に本来やらなければならないことがあります。
それは、マネジメントプロセスの整備です。

営業マネジメントのプロセスとは・・・『状況判断・対策策定の三つのプロセス』

  1. 状況の把握
    状況判断し適切な対策を策定するために必要な商談や営業に関する情報を把握する。
  2. 原因と問題点の発掘
    商談や営業に関する雑多かつ複雑な情報から原因と改善すべき問題点を発掘する。
  3. 対策の策定
    発掘した問題点に対する対策(改善策)を考察し選定する。

この三つが的確な状況判断と適切な対策策定を実現するプロセスです。
これを整備するということは、

  1. 状況の把握
    状況判断・対策策定にはどのような情報が必要なのか
    どうしたらその情報をマネージャーが適切に把握することができる
  2. 原因と問題点の発掘
    どうしたら、収集した情報(商談や営業に関する雑多かつ複雑な情報)から
    原因と問題点を発掘できるのか
  3. 対策の策定
    どうしたら発掘した問題点に対し受注獲得、売上目標達成できる
    適切な対策が考えられるのか

この(1)~(3)を整備するということです。

あたりまえのことを言うようですが、マネージャーが部下に指導するということは、部下に指導し受注を獲得させる、売上目標を達成させることです。
つまり、部下の営業の状況を的確に把握・判断し、原因と問題点を抽出し、受注獲得・売上目標達成に対して適切な対策を策定し、指導するということが「本来やるべきこと」です。

しかし、多くの企業で、この「本来やるべきこと」である『状況判断・対策策定のプロセス』には触れず、本来やるべきことを「促進するためのもの」である人間関係やコミュニケーション、負担の軽減ばかり・・・
そのため、状況判断・対策策定は手法やプロセスがなく、個人の力量に依存し、自分の力量で対応しないといけないマネージャーは自分の経験や主観で考え指導してしまう。

その結果・・・

  • 客観的に状況把握・判断ができず、適切な対策策定ができない
  • 経験していない状況は、わからない、対策がたてられない
  • 部下がついてこられない、理解できない
  • 今後の変化していく環境(経験していない環境)に対応できない

マネジメントによる指導力を強化するためには、本来やるべきことである『状況判断・対策策定の三つのプロセス』を整備し、そのうえで、コミュニケーションや関係の改善・強化を進めるべきなのです。

少々話は変わりますが、
当社では最近、失注分析コンサルティングの依頼が増えてきています。
これは、営業組織の改善が思うように進まず、失敗事例である失注を分析し、営業や商品上の課題を抽出し、改善していきたいという意向はあるが、自社で失注分析をやろうとしたがうまくできない・・・ということです。

なぜ、失注分析できないのか・・・
営業から収集した情報が断片的・部分的であったり、個々でバラバラな情報を集めているからです。
断片的・部分的でバラバラな情報で分析をしようとしているのだからうまくできるわけがありません。

失注分析をするためには・・・

  • 失注分析をするためにどのような情報が必要なのか
  • どうしたらその情報から原因と問題点を発掘できるか

という『状況判断・対策策定の三つのプロセス』の(1)と(2)が事前に整備してあり、営業がその情報を収集し管理している必要があります。
実は、その失注分析で必要な情報は、状況判断・対策策定で必要な情報と同じなのです。

つまり、『状況判断・対策策定の三つのプロセス』を整備するということは、個別の営業活動の指導だけではなく、営業全体の課題と対策を策定するための前提なのです。

次回は、『状況判断・対策策定の三つのプロセス』を実現する方法についてお話しさせていただきます。
ぜひ、ご一読ください。

次回は2月6日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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