第22回 費用削減改善編 業務改善

■業務改革
医療機関の費用を少しでも削減して、より多くの利益を得ようと考えるのは、誰しも同じです。
特にDPC/PDPSなどに代表されるように包括支払方式が多くなってきてからは、収入額をより多くということが困難になってきたので、費用を削減して利益を確保しようという考え方が主流になってきました。
費用を削減すると一言でいっても、大きく二つに分かれます。
一つは、職員自らの努力や工夫で削減できるもの。
一言で言うと「業務改革」です。もう一つは相手に協力してもらい初めてコスト削減が可能なものです。
まずは、自分たちの創意工夫によってコスト削減することを説明しましょう。

■進め方
最初に、皆さんの働いている経営環境や仕事の環境を整理、認識することから始めます。
このような環境をきちんと認識していないと、せっかくの改革も効果が低くなってしまいます。
次に業務改革とは何かを押さえ、業務システムの機能などを把握します。
把握したら、最も適した業務の方法などを考えます。
さまざまな問題にぶつかると思いますが、基本に立ち返り解決手段を考えると意外とよいアイデアが生まれます。
そして職務改善、業務改善、具体的な業務設計に移っていきます。
最初は身の回りの小さな改善から始めるのがよいでしょう?いきなり大きな改革に取り組んでも効果がでるまでに時間を要したり、失敗する確率も低くありません。
まずは小さくても確実に効果を上げることで勝ち癖を付けましょう。

■六つのハードル
医療機関がコスト削減に取り組んだ際のハードルを6つ挙げます。
あらかじめ知っておくことでコスト削減の改革の成功の確率が高くなります。

  • ハードル1:病院は赤字でもしょうがないとあきらめムード
    公的な医療機関にその傾向は高いようですが、決して民間病院でもまったくないとは言えません。
    一般の民間企業であれば社長交代に繋がりかねないような営業成績でも、医療機関はキャッシュフロー上お金が回ることが多く補助金なども出ることが多いです。
    さらに融資の申し込みも比較的通りやすいなどの傾向があり、「赤字でも何とかなる」と考えている経営者は多いようです。
    これは今までだったから何とかなったのであって、これからは「何とかしなければ」どうにもならない時代に入ったと認識を改めないととんでもないことになります。。
  • ハードル2:病院は「儲けてはいけない」
    「医は仁術」やヒポクラテスの誓いなど高い志しと倫理観によって奉仕の精神で医業を行うと「患者のために」という金言に惑わされ、経営感覚がマヒしてしまうことがあります。
    患者のために最善の医療を提供することは当然ですし、暴利を貪ることや不正による利益追求はもってのほかですが、適正な利益を得ることはむしろ必要なことです。
    適正な利益を得て、患者のために医療機関を存続させると考えましょう。
  • ハードル3:医業経営の専門家不在
    数年前に「医療経営士」*という民間の資格ができました。
    年に数回筆記試験があり、今では合格者が数千人にまで達したそうです。
    しかし民間企業でいう社長にあたる病院の開設者や院長は、医療法で医師にしか認められていません。
    優れた医師が優れた経営者であることは別問題です。医療機関の経営のプロフェッショナルがまだ少ないということが現実問題として存在します。

    ※医療経営士
    株式会社FMCAでは、医療経営士3級の受験対策講座講師派遣などを行っています。
  • ハードル4:医療機関を顧客とする企業との付き合い
    前述したように適正な利益は必要だが、多くの医療関係者は利益を上げることに抵抗がある。
    しかしその医療機関と取り引きをする会社は当然営利目的の民間企業です。
    この周辺企業との付き合い方を間違うと痛い目にあいます。
    例えば委託業務や内容を拡大し、従来の職員が他の付加価値を生み出すような業務にシフトしたとします。
    このことによって、せっかく院内に蓄積されたノウハウが外部に流出してしまうこともあります。また委託を拡大したことで、人件費の削減ができたとします。
    しかし一方で委託費が確実に増加しています。
  • ハードル5:縦割りの弊害
    医療機関は有資格者の集まりです。
    数十の専門化集団の集合体と言ってもよいでしょう。
    このような組織の場合、自分たちの利益が優先されがちです。
    全体をコントロールする役割が必要です。この役割は院長以外は考えられません。
  • ハードル6:厚生行政と社会のニーズの乖離
    診療報酬改定や医療法改正などの行政の流れは、在院日数を短く、複数の医療機関で得意分野を活かしながら連携をとって患者を診療していくことが主流です。
    しかし、このような姿が本当に患者の望む方向なのでしょうか?とはいえ母船護送船団方式の世界では行政の流れに逆らうことは容易ではありません。双方の意図、流れを汲みとって経営の舵とりが必要です。

強みと弱みの分析【バリューチェーン】
医療機関も競争の時代に入りました。
そこで、競争を優位にさせる経営資源などを特定する分析方法(バリューチェーン分析)をご紹介します
バリューチェーン分析(出典「コストのビヘイビアおよび差別化の現存または潜在の源泉を理解するための会社を戦略的に重要な活動に分解する」ポーター)

コスト優位性や差別化という競争優位の源泉を特定する分析ツール。主な活動内容を細分化することで、自院のどこが強みで、どこが弱いのかを分析し現在の戦略の有効性や改善点を考えることができます。

出典:DPC制度の今後の方向性(産業医科大学 公衆衛生学教室 松田晋哉氏)

皆さんは、どう思いますか?

次回は9月11日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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