第6回 二つのオートメーション

今回は「オートメーション(自動化)」についてお話させていただきます。最近ではあまり使われない言葉だと思いますが、役割としては今もバリバリの現役です。

まず、オートメーションについて説明すると、大きく二つに分類されます。

FA(ファクトリーオートメーション:略称エフ・エー):工場での生産工程の自動化
OA(オフィスオートメーション:略称オー・エー):事務処理の電子化による自動化

私が社会人としてスタートした1980年頃は、FAが開花時期を迎え、生産ラインのNC制御化が進められていました。また、その数年後には事務所にOAルームが開設され、当時としては高価なパソコンやプリンタの機器が設置されたのを覚えています。このように、時を前後して発生したオートメーション化(自動化)の流れは、情報技術の発展と共に互いにFA系・OA系の違いはあっても日々進化を続けています。

その結果、FA系では産業用ロボット・立体倉庫等の加工・保管等の自動化で生産性・品質の向上が図られ、OA系でもコンピュータによる情報のデータ化と事務処理の自動化が当たり前のようにおこなわれるようになりました。

そして現在は、この二つのオートメーション化に更なる進化が求められるようになっています。

例えば、一般的な鋼材加工業では以下のようなオートメーション化での作業が行われています。

  1. 事務所にて、受注情報を基に生産指示書の立案・発行。(OA系)
  2. 生産ラインで、生産指示書から加工情報の事前登録。(FA系)
  3. 生産ラインで、生産完了後に実績情報を生産指示書に記入。(OA系)
  4. 事務所にて生産指示書回収後、実績情報をシステムに登録。(OA系)

事務所・生産ラインそれぞれ同一の元データを利用していますが、システム上は繋がっていないため、再入力やデータの転記による2重インプットや入力ミスの問題が一目で見て取れます。もし、全社で生産指示書のデータを共有できれば、作業の大幅な効率化となります。つまりFAとOAの融合ということです。

しかしながら、ただ融合といっても簡単なものではありません。そもそも情報の共有化が実現できなかった理由として以下の点が挙げられます。

  1. FA(工場)とOA(事務所)でそれぞれ独自の開発をしてきたため、自部門の以外の有効な情報の採用ができなかった。
  2. 社内の全体効率を意識した仕組みづくりへの検討不足。
  3. 自動化の仕組みがブラックボックス化して、改修や機能に関して詳しくわかる人材がいない。

これら阻害要因を取り除き、他部署との情報連携と業務体制の再構築を行うことが、融合のポイントとなります。また、あわせて自動化システムベンダーへのチャンネル確保も重要な要件となることを付け加えさせていただきます。

今回は、FAとOAという二つのオートメーションについて、進化と融合といった面からお話をさせていただきました。最後に今後の取り組みの方向性を考えてみると、この進化と融合の次には、工場系や事務系といった区別をしないシンプルで効果的な自動化の実現が期待されるのではないでしょうか。

次回は6月15日(金)の更新予定です。

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この記事の著者

三由 浩司

株式会社CANVASは 2018年12月、株式会社日本金城印へ事業を移管いたしました。
鉄鋼流通・コイルセンターにおける業務全般(営業・生産・IT)のコンサルタントを中心に製造業全般の提案活動を実施。国内外における複数コイルセンターの標準化システム構築実績有。
株式会社日本金城印

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