第4回 震災以降のBCP(事業継続計画)

東日本大震災から1年が経ち、鉄鋼流通を含め多くの企業でそれまでの自社のBCPに対し大幅な見直しを行っています。今回はまず震災以前のBCPを振り返り、さらにこれからのBCPのあり方について、鉄鋼流通企業での例を基にお話させていただきます。

1. 震災以前のBCP
下記表は、ある鉄鋼流通企業(コイルセンター)の震災前のBCPシナリオと実際の対応内容を抜粋したものです。

この企業では、実際震災に直面した結果、倉庫床面の液状化による荷崩れや出庫停止など、一部に想定を超える被害が発生しました。しかし、BCP対応でデータセンターを活用していたこと、および、震災発生直後よりリモートVPNを利用した外部倉庫への在庫退避・検品から出庫処理といった業務環境を確保できたことなど、一定のBCPの効果は得られたと思います。

しかし、企業全体から見ると、震災前の中小企業でBCP策定を行っていた企業はあまり多くなく、BCPの想定・シナリオはベテランの暗黙知の中という残念なケースもあったのではないでしょうか。

では、次にこの企業の取った対策を例に、BCP策定のポイントをお話します。

2. 今後のBCP策定のポイント
まずはBCPでの想定とシナリオを、できるだけ形式知化することが重要となります。加えて、自社のBCPの基本的な考え方に沿ったシナリオの策定と共有が、更なるBCPの充実と実用性の向上につながると考えます。

例えば、下の図は前述した鉄鋼流通企業のBCPにおける基本イメージ図です。

基本的なコンセプトとしては、どの拠点が被災したとしても、代替的な対応拠点を早期確保することで被害を最小限に抑えるというものです。

この企業の基本コンセプト実現での対策の中に、これからのBCPにおけるポイントがあります。

<これからのBCPの三つの対応ポイント>
 i. システムの稼動継続
 ii. どこからでもシステムへアクセスが可能
 iii. 誰でもわかる標準システムと業務フロー

以上の三つの対応ポイントを基に、同じ目線で各部署のBCPを練り上げ、基本イメージを実現する。これが、これからの事業継続を考える上での効果的なパターンになると考えられます。

3. BCP策定を進めている企業様への提案

これまでBCPの今回の震災における教訓と対応事例をについて、簡単にお話しいたしました。
最後に、現在BCPの策定を進めている企業様に、以下の3点を提案させていただきます。

 i. 社内だけに限定されない地域・業界内を含めたBCPネットワーク作りの推進
  (* 広域災害等では垣根を取り払った対応が求められます)
 ii. 策定したBCPシナリオを実現可能にする環境および投資計画への体制作り
  (* コスト面を意識しすぎた適切な対応への遅れへの反省から)
 iii. 実現不可能な対応シナリオ策定の排除。
  (* 明らかに実現不可能なシナリオは策定せず、場合によっては諦めるという選択肢もシナリオに取り込む)

1000年に一度ともいわれる大震災に対し、平均寿命が約80歳の人類やもっと短いといわれる企業が、今回の経験をもとに次の災害に備える。このDNAが人類存続の必然ではないかと思えてなりません。

最後に、まだまだご不自由をされている被災者の皆様の、一刻も早い復興をお祈りさせていただきます。

次回は4月中旬の更新予定です。

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この記事の著者

三由 浩司

株式会社CANVASは 2018年12月、株式会社日本金城印へ事業を移管いたしました。
鉄鋼流通・コイルセンターにおける業務全般(営業・生産・IT)のコンサルタントを中心に製造業全般の提案活動を実施。国内外における複数コイルセンターの標準化システム構築実績有。
株式会社日本金城印

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