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第15回 外国人と働くということ‐自社の強みを活かした海外進出とは‐
最近の外国為替市場を見てみると、円高と騒がれた去年来ずいぶんと円安指向へと移行しているのが実感できます。
しかし、円安へとシフトしているからといってすぐに国内景気が回復するかというとあまりそのような兆しは見えず、まだまだいろいろな要因が景気回復を妨げているようです。
しかしながら私は最近、以前盛んに言われていた日本の製造業の衰退は円高によるものが大きく、輸出主体の企業には海外進出以外には生き残る道はあまりないという考え方に違和感を持ち始めています。
もちろん、輸出が中心の自動車産業などでは円高のインパクトは大きく、何もしなくても損益に大きな影響を受けます。
しかし私が違和感を持つのは企業の海外進出が円高という要因のみで行われているわけではないのではという点です。
各企業ひいては各国の経済連合体が新たなビジネスモデルとしての世界経済のグローバル化に向かい、単独企業の輸出ではない適材適所の企業体による経済活動の必要性から海外進出が避けては通れない過程となっているのではないでしょうか。
例えば、日本のカーメーカーが東南アジア各国と協業して活動拠点を持ち、近隣諸国への販売を行うことは既に当たり前のこととなっています。
このような状況下、私自身も海外でのプロジェクトに参加させていただく機会があります。
そして、このグローバルな仕事を進める中でローカルな問題に多々遭遇します。
たとえば、現場では日本人管理者が仕事の上で思い通りにいかず現場で怒鳴り散らしたり、現地のいろいろな習慣に対して呆れ・あきらめの泣き言を言っているのを聞くことです。
このような場合、私は傷の舐め合い的な同情やいい加減なアドバイスは避けるようにしています。
彼らはローテーション等で、たまたま国内の東京や大阪に転勤になったわけではなく、期待され会社の存続をかけたプロジェクトの一員として海外に派遣されているのです。
もっと本質から仕事に取り組んでもらえるような提案をすることを心がけています。
提案内容としては、その会社の強みや売りである本質的な考え方や管理手法をいかに現地で実践できるかに重点を置いて検討し合います。
これを現地企業に現地社員ともども納得ずくで取りいれることができれば、日本同様かそれ以上の力を持ち、国を超えた企業連合体としての成長が狙えると思えます。
また、労務管理は日本国内同様に重要なことですが、現地の社員にしてみれば生活の糧を手に入れる場で求められる行動にはそれなりの環境にあった納得度が必要だと思います。
しかし、その納得度にはその会社の強みや売り、もとめられる社風が前提としてあります。
たとえ気候・風土が違っていても、安全・品質の維持に関しては一切の妥協も許さないなど、それらを踏まえた上での労務管理を行うという方針を最初からしつこいほど周知徹底させる必要があります。
この基本的なコンセプトを明確に提示でき、お互いに共有できることで初めて一緒に仕事ができることとなります。
なぜなら、最初はお互いが外国人ではありますが、それから理解し合うことにより同じ社員となるからです。
次回は3月22日(金)更新の予定です。
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