第40回 業務棚卸のポイント

コイルセンターでは決算や年度末に向けて、資産の棚卸準備に取り掛かっているところも多いと思います。
私共ではお客様さまから業務改善やシステム更新のご相談をいただいた場合に、現状業務の棚卸として、お客様の現状の業務をもれなく書き出してもらい、分析し、業務の見直しや問題点を解決するために行うことをご説明しています。

第5回のコラムで「業務棚卸のすすめ」として、その有効性についてご紹介させていただきましたが、今回は「資産の棚卸」と「業務の棚卸」の比較を通し、業務棚卸のポイントについて考えてみたいと思います。

■第5回 業務棚卸のすすめ

資産の棚卸とは、決算や整理のために在庫の原材料・製品などを種類・数量・品質を調査し、資産価値を評価することです。
コイルセンターでは、母材・仕掛品・製品・スクラップ等の現物の数量・重量を調査、帳簿(システム)と照合して差異のある場合はその原因を調査します。
数量・重量はバーコードによる入出庫管理が増えており在庫精度も向上し、帳簿との差異は少なくなりました。資産価値については製品に錆が発生している場合はスクラップへ評価を変更することもあります。また、どうしても現物と帳簿の差異原因が不明な場合は現物にあわせて帳簿を修正する場合もあります。

では、業務の棚卸とはどのようなことなのでしょうか。
資産棚卸の在庫は「現状業務」、帳簿は「各業務の役割・目的」に当たります。
現状業務はお客様に書き出していただき、ヒアリングを通して整理と把握ができますが、業務の問題点については、担当者が目先で困っていることに偏りがちです。
原因は資産棚卸の帳簿に当たるものが不明で現状との差異に気が付かないため、現状をベースとした不満や変更要望に至っていることにあります。
現在困っていることの解決も大切で見逃がすことはできませんが、その業務が全体業務のなかで担っている役割・目的と比較し、現状はどの様になっているのかを知り、差異があれば本来の目的・役割を遂行するためにどの様に行えば良いのか、何を変えなければならないのかに気が付いていただくことがポイントです。

棚卸とは基準となるものと現物との差異がないかを確認し評価することです。
業務の棚卸は、現状の整理だけでは前に進むことができません。
そのためには「各業務の役割・目的」をもう一度振り返えってみることが必要となります。

次回は2月19日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社日本金城印 横浜オフィス シニアマネージャ

三山 裕司

2003年10月、株式会社CANVASを起業。
2018年12月、株式会社日本金城印へ事業を移し現職。
鉄鋼流通/コイルセンターの実務とITに精通した専門家集団として、業務改善・システム導入でお客様をサポート。RFIDを代表とする自動認識技術・物流効率化を実現するサービス・システムの情報提供・導入支援を行う。
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