第13回 管理者のための管理ツール、お持ちですか?

最近の鉄鋼流通の業界でもBIツール(企業内の膨大なデータを、蓄積・分析・加工するツール)の活用には目を見張るものがあります。
例えば、自社の販売・仕入・在庫実績を営業担当者別に集計したり、過去の実績を時系列的に表示したり、営業担当者の強力な支援ツールとなっています。
またこれに加えモバイル端末の普及も加速し、出先でもBIツールが容易に活用できる環境が拡大しています。

このように、営業担当者レベルでの日々の実績などの把握は容易になっているにもかかわらず、管理者(上位管理職)としての把握する実績管理はどのようになっているのでしょう。

管理者として各営業担当者と同じ目線で得意先ごとの販売実績等の把握をすることは重要でしょうが、管理職に求められている「管理すること」へのアプローチの方法や評価には、営業担当者とは違った、勘だけではない、より高度で客観的な数値等の裏づけが必要な場合があります。

例えば、販売に対する目標と実績との差異の内容分析では、管理者レベルと営業担当者レベルとの分析で結果が異なる場合があります。
これは多くの場合、両者の目線での外部環境や競合先その他の配慮する要因に違いがあるためです。
これらの分析上での付加要因の違いをより明確にして、勘や経験だけではないより数値的・論理的裏づけがあるアドバイスや判断を行うことが、営業担当者との協働効果を得る上で管理者として求められる役割だと考えます。
そのためにも実績の把握だけではない、管理者として実態が把握しやすい管理ツールの活用を是非お勧めします。

この提言をさせていただくと、よく理想論としては理解できるが、わが社のシステムはそのレベルではなく、現状では必要なデータの収集もできないといわれます。
しかし今回の話は、システムができないから実現できないといった管理方法の話ではなく、自分の役割に求められている管理すべき内容をどのようにどのレベルで実現し、これからどのように管理していくかという話と考えていただければ幸いです。

そのためにも、今の手持ちの資源(基幹システム・BIツール・表計算ソフトなど)での目指すべき販売量・粗利確認などの管理内容の整理を行い、日々PDCAのサイクルを実行して、よりブラシュアップした管理ツールにしていくかが重要だと思います。

もちろん、このツールの活用の対象は販売戦略だけではありません。
日々行っている日常業務での課題の把握や、経営判断上での管理資料としての活用の可能性もあります。それは管理する人の対象や管理レベルによって、管理指標にはいろいろな切り口があるからです。
その目線単位での指標の状況をオープンにすることが、その会社の目標に向かっている状況をみんなで把握できる「風通しがよい会社」にもつながると思います。

次回は2013年1月25日(金)更新の予定です。

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この記事の著者

三由 浩司

株式会社CANVASは 2018年12月、株式会社日本金城印へ事業を移管いたしました。
鉄鋼流通・コイルセンターにおける業務全般(営業・生産・IT)のコンサルタントを中心に製造業全般の提案活動を実施。国内外における複数コイルセンターの標準化システム構築実績有。
株式会社日本金城印

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