企業の“当たり前”を変革するDX

2022年10月28日公開

企業の“当たり前”を変革するDX

DX(デジタルトランスフォーメーション)というワードが聞かれるようになって久しいですが、「DXって具体的には何だろう」「うちの会社も取り組んだ方が良いのだろうか」などと疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

まずお伝えしたいのが、DXは決して敷居の高いものではないということ。身近でちょっとした取り組みもDXにつながっていきます。

今回は企業の“当たり前”を変革するDXと題して、DXをより身近に感じられるトピックを用意しました。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か

最初にDXの定義から整理しておきましょう。DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義は定まっていませんが、広義では「データとデジタル技術を活用して、人々の生活をより豊かにすること」という意味で使われています。

また、ビジネス文脈では「データやデジタル技術を活用して、製品やサービス、ビジネスモデルを変革したうえで、業務そのものや組織文化などを改善し、企業の競争力を高める取り組み」という意味で使われることが多くあります。言い換えると、DXとは「これまで“当たり前”とされてきた業務や組織文化、経営を変化させること」になります。

ただ、このようにDXの意味を確認すると、「IT化と何が違うの?」と思う方もいるでしょう。次にDXとIT化の違いについておさえておきましょう

DXとIT化の違い

DXと混同しがちな「IT化」という言葉ですが、以下のとおり明確な違いがあります。

  • ● DX:これまで“当たり前”とされてきた業務や組織文化、経営、製品・サービスを変革させること
  • ● IT化:アナログで行っていた作業や業務をデジタル化すること

IT化が例えば、タイムカードをWeb上で打刻できるようにする、といった「作業や業務のデジタル化」であるのに対し、業務や作業に留まらず、組織文化や製品・サービスなどをより深く、広い領域まで踏み込んで行う変革がDXです。IT化と比べてDXが起こす変革は、企業全体にまで影響を及ぼすのです。

イメージとしては「IT化を積み重ねていった先にDXがある」と考えるとわかりやすいかもしれません。あくまで、IT化はDXを実現するための手段であると覚えておきましょう。

現状のITシステムだと経済損失が発生する?「2025年の崖」

2000年になると、コンピューターに異常や誤作動が発生するのではないかと懸念された「2000年問題」を覚えている方も多いでしょう。この2000年問題と同じように、年数とリスクが紐づいた危機がDXにもあります。それが「2025年の崖」です。

2025年の崖とは、「現状のITシステムを刷新せずに2025年に突入すると、最大で年間12兆円の経済損失が生じる」というもの。もちろん、現状のITシステムを刷新しないままでは、DXも実現しません。

また経済損失やDX未実現のほか、2025年以降は以下の問題も懸念されています。

  • ● 古いシステムを維持管理する費用の高額化
  • ● データ滅失・流失リスクの増加
  • ● 守運用人材の不足・不在

加えて、既存のITシステムのままでいると2025年以降、爆発的に増加するデータを活用しきれずに、競争力が大きく低下するリスクもあります。2025年の崖を見据え、企業におけるDXの推進が急がれているのです。

DXが進むとどうなるの

それではDXが進むと、企業にとって具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。DXのメリットは経営者側・従業員側、双方にあります。

DXによる経営者のメリット例

  • ● 業務の生産性が向上する
  • ● 新商品・新サービスを創出しやすい

DXによる従業員のメリット例

  • ● どこでも働けるようになる
  • ● オンライン上のコミュニケーションの質が上がる

DXの推進には、「初期費用やランニングコストがかかる」や「全社的な取り組みになるため、従業員の理解や協力が必要」といったデメリットもあることは事実です。ただし、DXへの取り組みを進めない限り、将来的に競争力の低下が懸念されます。このようなDXを進めないデメリットにも目を向け、DX推進にかかわる経営判断をすることが重要です。

大塚商会がこれまでにやってきたこと

大塚商会では、DX推進のためのITサービスの提供を行っていますが、お客様への提案に活かせるよう、最新のITツールをいち早く自社に導入。従業員一人一人がメリットおよび課題点を体感し、それを提案に活かしています。

上記が、大塚商会がこれまで導入してきたIT化とDXの取り組みです。
DXという言葉が誕生する以前から、IT技術を用いてビジネスの仕組みを変革してきたのです。

例えば、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により一気に普及したWeb会議を、大塚商会では1990年代より導入しています。また、ここ10年で導入企業も増えてきた営業支援システムや勤怠管理システムは2000年代に導入。SNSやホームページのよくある質問ページなどでここ最近見られるようになったチャットボットも2010年代より導入しています。
このような取り組み実績もあり、大塚商会は2021年4月1日、経済産業省の定めるDX認定制度に基づき、「DX認定取得事業者」の認定を取得しています。

変革できる5つの“当たり前”

DXと言ってもそう大仰に構えることはありません。紙の資料をデジタル化するように、「普段の何気ない業務や働き方を、ITの力を借りて便利にする」のがDX推進の第一歩です。企業は具体的に以下5つの“当たり前”を変革し、DXを推進させることができます。

  • ● 業務の“当たり前”
  • ● 働き方の“当たり前”
  • ● 意思決定の“当たり前”
  • ● 顧客接点の“当たり前”
  • ● IT環境の“当たり前”

ここでは上記5つについて解説していきます。それぞれの“当たり前”を見ていきましょう。

変革できる業務の“当たり前”

企業は業務内容の“当たり前”を変革し、DXを推進できます。

業務の“当たり前”の変革例

“当たり前”変革後
重要書類や各種資料は基本的に紙で保管している紙資料をデジタル化し、オンライン上で保管する
社内申請・承認は紙ベースで行っている社内申請・承認をデジタル化および会計システムと連動させる
紙の給与明細書を手渡ししている給与明細書はデータ配布にする

例えば「紙資料のデジタル化」について、紙で保管するとなると、どうしても探し出すために時間がかかってしまいます。バックヤードに行き、資料が収められているファイルを探し出し、ページをめくるも「このファイルではない。どのファイルだろう」と迷う...このような経験をした方も少なくないでしょう。加えて、紙の場合は処分の労力・時間も相当かかります。

資料をデジタル化すれば、検索をかけられるようになるため、書類探しの時間を大幅に削減できます。仮に一人あたり一日平均5分間、書類探しに時間を費やしていたとして、「5分間×組織の人数分」の時間を従業員はほかの業務に充てることができるのです。

また「給与明細書をデータ配布にする」だけでも、給与明細の印刷や封入の手間、人員リソース、残業時間の削減につながります。作業にかかわる従業員のストレスも低減されることでしょう。

実際に紙媒体のデジタル化を進めた企業の中には、「経理担当者の業務負荷が半減した」「検索性が向上し、質の高い問い合わせ対応ができるようになった」などの声も聞かれています。このようにちょっとした業務をIT化することで、多様なメリットを生むことができるのです。

業務の“当たり前”の変革について、もっと詳しく確認したい方はこちらのページも参考にしてみてください。

変革できる働き方の“当たり前”

変えるのが難しそうに思える働き方についても、IT技術を使えば変革できます。

働き方の“当たり前”の変革例

“当たり前”変革後
電話応対のためだけに出社しているAIチャットボットで自動応対する。もしくはソフトフォン(インターネット経由の電話を可能とするソフトウェア)を使い、自宅で電話応対をする
会議参加メンバーのスケジュール調整に時間がかかるオンライン会議を導入し、スケジュール調整のしやすい環境を整える

「電話応対のためだけに出社している」という従業員を抱える企業もあるでしょう。そのような企業は、例えば、お問い合わせ対応の一部をAIに任せることで、業務負荷および人員リソースを削減し、電話応対のために出社する従業員の数を減らすことができます。

また会議にかかわるスケジュール調整に苦慮している組織は、オンライン会議の導入により課題を改善できるでしょう。

さらに、このような小さな働き方の“当たり前”を変革していくことで、オフィスで働くという“当たり前”から、いつでもどこでも働けるテレワーク環境が整えられていくことになります。テレワークの導入を検討している組織は、働き方のちょっとした“当たり前”を変革するところから始めてみても良いでしょう。

働き方の”当たり前”の変革について、もっと詳しく確認したい方はこちらのページも参考にしてみてください。

変革できる意思決定の“当たり前”

意思決定の領域の“当たり前”も変革できます。

意思決定の“当たり前”の変革例

“当たり前”変革後
経験や勘に基づいて意思決定をしている経験や勘に加え、AI×データに基づいて意思決定をする
実績は月末締めの後に把握し、経営判断に役立てているBIツールでタイムリーにデータ収集・可視化。より早く正確に経営判断を行う

経験や勘だけに頼るのではなく、データの裏付けをもって意思決定を行うことで、より正確でスピーディーな判断を下せる可能性が高まります。データを活用することで、顧客ニーズの変化に対応したり、営業の属人化を防ぐ効果も期待できるでしょう。

また、BIツールでリアルタイムにデータを収集すれば、人によるデータ収集や分析の時間を削減できるほか、月末を待たずとも経営判断のヒントを得ることができるようになります。ちなみに、BIツールを活用できる領域は広く、顧客、商品・サービスごとの利益率を把握したり、資料作成工程の自動化を実現した企業も実際にあります。

意思決定の“当たり前”の変革について、もっと詳しく確認したい方はこちらのページも参考にしてみてください。

変革できる顧客接点の“当たり前”

顧客接点の“当たり前”の変革例も見ていきましょう。

顧客接点の“当たり前”の変革例

“当たり前”変革後
顧客へ各種資料を郵送している電子契約を活用し、より早く次の業務ステップへ進める
名刺交換は対面で行うオンラインで名刺交換を行う

対面では不便であったり、時間がかかってしまう作業も、ITの力で解決できます。

例えば、顧客へ契約書や納品書など各種資料を郵送している企業は、電子契約を活用することで、業務効率化を図ることが可能です。郵送資料の印刷・封入、ポスト投函などの手間もなくなり、リアルタイムで資料を送付できるため、顧客からの返信も早くなります。

また、新型コロナウイルス感染症の流行により、オンライン上で顧客と接する機会が一気に増えました。これまでの「名刺は対面で交換するもの」「紙で契約は結ぶべき」などの“当たり前”が、変わってきていることを実感している方も多いのではないでしょうか。

企業の実情に応じて顧客接点の持ち方を一部でもオンラインに置き換えることで、自社と顧客、双方にメリットが生じることでしょう。

顧客接点の“当たり前”について、もっと詳しく確認したい方はこちらのページも参考にしてみてください。

変革できるIT環境の“当たり前”

“当たり前”だと思っているIT環境も、“当たり前”でなくすことができます。

IT環境の“当たり前”の変革例

“当たり前”変革後
災害時のデータ破損・消失の心配があるデータセンターやクラウド環境を活用し、データ消失のリスクを抑える
出社しないとアクセスできないデータがあるクラウドストレージを活用し、場所を問わずデータにアクセスする

災害時のデータ破損・消失リスクは、データセンターやクラウド環境を活用することで対策することが可能です。

セキュリティの関係上、出社をしないとデータにアクセスできなかったり、データの共有ができず不便に感じる方も少なくないでしょう。強固なセキュリティ対策がなされているクラウドストレージを活用することで、物理的なデータの消失を防ぎ、場所を問わずデータにアクセスすることができるようになります。

このようにIT環境を整えてDXを進めることで、業務の効率性を向上させることができます。IT環境の“当たり前”を見直し、DX推進を検討してみましょう。

IT環境の“当たり前”の変革について、もっと詳しく確認したい方はこちらのページも参考にしてみてください。

ハードルが高いと思われがちなDXは、例えば「これまで紙で保管していた資料をデジタル化する」「名刺交換をオンラインで行う」など、ちょっとした業務のIT化を積み重ねていくことで、実現できます。

実際、企業規模・業界問わず年間約28万社と取引実績のある大塚商会のお客様の中にも、「送付されてくるFAX文書の電子化をし、運用負担を減らした」や「デジタルサイネージを導入し、確実な情報発信を実現した」など、“ここが省力化できたら嬉しい!”というポイント解決のために大塚商会のITサービスを利用してくださっています。

普段から「もっと効率的にできないものか」と思われているその業務も、もしかしたら大塚商会が力になれるかもしれません。気になることがあれば、ぜひご相談ください。

気づいていますか?企業の競争力を落とす5つの“当たり前”。