介護業界の課題をDXで解決。厚生労働省も推進する介護とICT

2023年 2月 7日公開

介護業界の課題をDXで解決。厚生労働省も推進する介護とICT

総務省統計局によると、日本の総人口1億2471万人のうち、65歳以上の高齢者人口は3627万人で、総人口の約30%が高齢者です。※2022年9月15日時点
少子高齢化の日本において、介護のニーズは将来的に増えつづけていくことが、ほぼ間違いないにもかかわらず、介護現場における慢性的な人手不足が深刻な問題となっています。

本記事では、日本が抱える介護業界の課題および、国が進める取り組みについて、大塚商会が提供するサービスとともに解説します。

日本の深刻な少子高齢化と介護業界

日本は、既に少子高齢化社会にあり、現在の低い出生率のまま進むと、年齢における人口割合はどのようになるのでしょうか。

財務省が公開している数値によると、今から約40年後の日本では、主たる労働人口となる20代~64歳の割合は、現在の54%から48%へ減少。一方で65歳以上の高齢者割合は29%から38%まで上昇するとされています。

この高齢化のスピードは世界的にみても顕著で、諸外国と比較したグラフでは、日本の高齢化が突出していることが分かります。

少子高齢化が進むことは、経済成長のブレーキとなり、社会保障制度の崩壊や財政悪化の懸念材料となりますが、目下直面しているのが記事冒頭でも触れた介護現場における人手不足です。

介護保険法に基づいて策定される「介護保険事業計画」において、必要とされる介護職員の人数は以下のとおりです。

年度必要介護職員数(年あたり増加数)
2019約211万人(5.5万人/年)
2023約233万人(5.5万人/年)
2025約243万人(5.3万人/年)
2040約280万人(3.3万人/年)

全体の労働力人口が減少していく中で、必要とされる介護職員数は今後増えていくのです。
厚生労働省が発表した、2025年の介護職員の受給ギャップ(必要な人員数に対する見込み)では37.7万人の不足が発生します。

介護人材の需要見込み(2025年度)253.0万人
現状推移シナリオによる介護人材の供給見込み(2025年度)215.2万人
需給ギャップ37.7万人

この数値から、介護現場における人手不足が、いかに深刻か分かることでしょう。

このままの状態が続けば、必要な介護サービスを受けられないという事態に陥ってしまいます。
しかしながら、出生率が今後急増するということは現実的ではなく、また海外から働き手を受け入れるという人的手段も、簡単ではありません。
そこで今、国が推進している一つの手段が介護現場におけるDX化(ICT化)です。

国が推進する介護現場におけるICT化

厚生労働省は、介護現場におけるICT化を進めています。

ICT化は「情報通信技術」と訳される言葉で、パソコンやスマートフォンなどの機器が通信によって繋がることなどがこれにあたります。デジタル技術によって私たちの生活に変革をもたらすことを目的とするDX化の基礎ともいえる部分です。

介護現場において、従来の紙媒体での情報のやり取りを見直し、ICTをインフラとして導入することで下記のような効果が期待できるとされています。

ICT化によって期待される効果

  • ● 業務効率化によって職員が本来の介護サービス提供に集中できる→生産性向上
  • ● ビッグデータ蓄積により、エビデンスに基づいたサービス提供ができる→介護サービスの質向上

介護現場での情報共有や、行政に提出する文書作成など、本来の介護サービス以外の業務を効率化することで、職員が介護サービスに集中できるようになり生産性が向上。ビッグデータの活用によるサービス向上も図れます。

このビッグデータの活用に関しては、2021年4月より厚生労働省が科学的介護情報システム「LIFE」の提供を開始しています。介護サービス利用者の状態や介護施設・事業所で行っているケア内容などを入力すると、情報が厚生労働省へ自動送信され、内容の分析後に介護施設へフィードバックされるシステムです。

また、ICTを活用することで、働きやすい環境作りにも貢献することができます。これまでの介護業界に対するイメージを刷新して、人材の参入促進を実現し、介護業界が抱える人手不足を解消する可能性も秘めているのです。

大塚商会の「FURO-SHIKI」および企業としての取り組み

大塚商会では、ITの力で介護現場に貢献したいという想いから、介護業務支援プラットフォーム「FURO-SHIKI」というサービスを提供しています。

FURO-SHIKIは、介護現場で使用されている見守りIoT機器やナースコール、記録システムなどを一元的に管理できるプラットフォームです。
これまで、各機器の製造元が提供する自社製品用プラットフォームを使用しなければならなかったため、複数のシステムで管理する必要があり、生産性向上の妨げとなっていました。

それを、FURO-SHIKIによって、製造元の異なる機器もまとめて管理できるようにしたのです。

介護現場での生産性向上に寄与でき、介護職員間でのスムーズな連携を実現することで、職場環境の整備にも繋がります。また、FURO-SHIKIに集約されたデータは蓄積されるため、将来的に科学的介護の根拠となるデータ解析や、エビデンスに基づいたサービス提供も可能となります。

こうした取り組みは、大塚商会のミッションステートメントの使命に基づいています。

使命

  • ● 大塚商会は多くの企業に、情報・通信技術の革新によってもたらされる新しい事業機会や経営改善の手段を具体的な形で提供し、企業活動全般にわたってサポートします。そして、各企業の成長を支援し、わが国のさらなる発展と心豊かな社会の創造に貢献しつづけます。

このミッションステートメントを具現化するための「やるべきこと」の一つに、「お客様目線で、お客様の課題やビジョンを共有します」があります。

一方的に製品やサービスの販売を行うことはせず、お客様のご希望を十分にヒアリングし、検討要素を提案することで、一緒に商品選定ができるパートナーでありたいと考えています。課題やビジョンを共有し、本当にお客様のお役立ちに貢献できるよう、共に歩める関係を目指しているのです。

介護現場の人手不足もその一つ。より良い社会を形成するために、大塚商会ではDXを推進していきます。

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