データは「持ち運び」から「預ける」時代へ! これからの記録媒体の在り方とは?
2023年2月28日公開

デジタル庁は業務における「アナログ規制」を撤廃し、デジタル改革を推進しようとしています。その一つに「フロッピーディスク等の記録媒体を指定する規定の見直し」があります。
これは、行政手続きの際に提出する記録媒体の形式をフロッピーディスクやCD-ROMとしている現在の規定を変える動きです。
このように現在、日本では記録媒体の在り方が見直されようとしています。今回は「これからの記録媒体の在り方」をテーマに、記録媒体の歴史や主流になりつつある「クラウドストレージサービス」などについて解説していきます。
2022年8月、デジタル庁は記録媒体の指定撤廃方針を表明
冒頭でお伝えしたように、2022年8月30日、デジタル庁は行政手続きで使われる記録媒体の見直しを進める方針を明らかにしました。
デジタル庁によると現状、約1,900条項にフロッピーディスク等の個別の記録媒体を指定する規定が存在しています。デジタル庁としては「行政手続きでフロッピーディスク等を使わなければならない規定があるから、オンライン化が進みにくい」という課題意識を持っているようです。
確かに、フロッピーディスクやCD-ROMを用いたデータの管理・共有は、時代の流れとそぐわないかもしれません。例えば、2022年4月に、とある自治体が誤って給付金を一人の男性にまとめて振り込んでしまう誤振り込み事件が発生しました。この自治体では、職員はフロッピーディスクを用いてデータのやり取りをしていたことも話題になりました。
この事件を受け、各自治体や金融機関ではフロッピーディスクの使用を改めることを検討し始めています。
このようなフロッピーディスクの運用見直しの動きに代表されるように、現在は「記録媒体の見直し時期にさしかかっている」と言えるでしょう。
データの記録媒体の歴史(フロッピーディスク~クラウドストレージ)
有史以来、人類は石や粘土板など、多様な記録媒体を発明・利用してきました。ここでは、現代の“記録媒体の在り方”を見直すにあたり、記録媒体の歴史を、フロッピーディスク以降に絞って簡単に振り返ってみましょう。
データの記録媒体の歴史
- ● <フロッピーディスク:1980年代~1990年代>1980年代より、フロッピーディスクが普及。パソコンの普及とともに、小型フロッピーディスクの生産が拡大した。
- ● <光ディスク(CD・DVDなど):1980年代中頃~>1985年にはソニーとフィリップス社により、フロッピーディスクの容量を大きく超える「CD-ROM」が発売。1980年代後半より急速に普及した。
- ● <光磁気ディスク(MO):1980年代後半~1990年代中頃>原則読み込み専用の光ディスクに対し、データの書き出し・保管を可能にする「光磁気ディスク(MO)」が登場。
- ● <メモリーカード(SDカード・スマートメディアなど):1990年代~ >代表的なメモリーカード「SDカード」は1999年に東芝や松下電器産業など3社が共同開発。デジタルカメラやデジタルオーディオなどの記録媒体として、現在も使われている。
- ● <USBメモリー:1990年代~>日本では2000年に初めて登場。軽量かつ小型であることから、急速に普及し、現在も使用されている。
- ● <クラウドストレージサービス:2000年代~ 現在>現在は文書や画像などのデータをオンライン上に保存する「クラウドストレージサービス」の市場が拡大している。
このようにさまざまな変遷を遂げている記録媒体ですが、現在はクラウドサービスの一つ「クラウドストレージサービス」が急速に普及しており、総務省は以下の調査結果を公表しています。
クラウドサービスの利用用途第1位の「ファイル保存・データ共有」は、まさにクラウドストレージサービスの領域です。フロッピーディスク等の物理的な記録媒体にはない、「利便性の高さ」から、クラウドストレージサービス普及の動きはより強まっていくことでしょう。
クラウドストレージサービスのメリット

ここではクラウドストレージサービスのメリットを整理していきます。
正しい運用方法を社内で実装できれば、これまでの記録媒体が抱えていたリスクや問題点を解決し、業務を円滑に進める助けになってくれるでしょう。
どこからでもデータにアクセスできる
クラウドストレージサービスに保管したデータへは、場所を問わずアクセスできます。そのため例えば、「営業先で顧客情報を確認したい」「出張先で資料を編集したい」などという場面でも、最新のデータを参照し、業務にあたることができるため、業務の効率化につながります。
複数人がデータを同時に作業できる
クラウドストレージサービスに保管しているデータは、複数人による同時作業が可能です。誰かの作業が終わるのを待つ必要はなく、自身のタイミングで作業に着手できます。
そのため、何人かが資料を一緒に確認・更新しながら会議を行う。同じタイミングで営業資料の異なる箇所を分担して作成する。といったことが可能で、作業効率は大幅に向上することでしょう。
物理的な記録媒体でないため、紛失・盗難・破損リスクがない
クラウドストレージサービスは、フロッピーディスクやUSBメモリーなどの物理的な記録媒体ではないため、紛失・盗難・破損リスクはありません。
物理的な記録媒体にデータを保存している場合、紛失・盗難・破損してしまうと、データも一緒に失われてしまいます。そのため、壊れやすいフロッピーディスクやコンパクトが故に紛失しやすいUSBメモリーなど、物理的な記録媒体は慎重に扱わなければなりません。
一方、クラウドストレージサービスはデバイスが破損したとしても、データまで破損することはありません。さらにデバイスを紛失・盗難されたとしても、ほかのデバイスからデータにアクセスすることができます。
クラウドストレージサービスのデメリット

クラウドストレージは、非常に便利なサービスである一方、使い方次第ではリスクも伴います。
単に「便利だから」という理由だけで選ぶのではなく、業務の運用方法に合わせたサービスの選定も必要です。
インターネット環境にないと接続できない
クラウドストレージサービスはどこからでもアクセスできますが、それは“インターネット環境にある”のが前提です。電波が届かない場所にいたり、災害時などネットワーク障害が発生した場合などは、データにアクセスすることができません。特に重要なデータは物理的な記録媒体も併用するといった対策を取ると良いでしょう。
セキュリティレベルの高いサービスを選ぶ必要がある
クラウドストレージサービスはオンライン上にデータを保管する特性上、第三者からのサイバー攻撃による情報漏えいリスクがあります。そのため、セキュリティレベルの高いサービスを選ぶことが大切です。具体的には、組織におけるセキュリティ対策の指針を定めたセキュリティポリシーを確認したうえで、サービスページにおけるセキュリティ機能が豊富なサービスを選ぶようにしましょう。
情報漏えいへの備えも必須
クラウドストレージサービスを利用する以上、情報漏えいのリスクは常に付きまといます。そのため、例えば以下のような情報漏えいのリスクを軽減する取り組みが大切です。
情報漏えいの備え例
- ● 従業員向けにセキュリティ研修を実施する
- ● マニュアルを整備する
- ● 機密情報はクラウドストレージサービスで保管しない
- ● 退職者のID・パスワードは即座に削除する
管理者だけでなく、従業員への十分な啓発も重要なのです。
安心・安全な「たよれーる どこでもキャビネット」へデータを預ける
クラウドストレージサービスのように“データを預ける”サービスには、「高い共有性」と「場所を選ばないアクセス性」という大きなメリットがあります。例えば、これまでUSBメモリーの受け渡しによってデータ共有をしていた企業が“データを預ける”サービスを利用することで、USBメモリーの物理的な受け渡しをせずに、即時データの共有が実現されます。一方、共有された側もどこからでもアクセスし、リアルタイムな確認が可能です。
そんなメリットを持つ“データを預ける”サービスですが、オンライン上にデータを保管するという特性上、優れたセキュリティ対策を施したサービスを利用することが重要です。大塚商会では、優れたセキュリティ機能を持ち、安心してデータを保管できる「たよれーる どこでもキャビネット」を提供しています。
「たよれーる どこでもキャビネット」のセキュリティ
- ● 国際認証を取得した国内データセンターで運用
- ● データセンターへの接続は暗号化通信となる
- ● ファイルのアップロード時にはウイルスチェックを実施
- ● 証明書をインストールしていないデバイスからのアクセスを制限
「たよれーる どこでもキャビネット」を使えば、上記のような強固なセキュリティ体制のもと、クラウド上でドキュメントや動画・画像などのデータを保管し、社内外からいつでもアクセスできる環境を整えることができます。
また、ファイル共有(保管)機能に加え、安全に大容量データを受け渡しできる「ファイル送受信機能」や「名刺管理機能」も搭載している点もが特徴です。
こうしたセキュリティおよびサポート体制の充実さにより、多くの企業が安心して「たよれーる どこでもキャビネット」を活用しています。
「たよれーる どこでもキャビネット」の導入事例
- ● 株式会社ナクロ(表面処理加工業):全国を飛び回る営業担当者が出先より名刺情報にアクセスできる環境整備のために導入
- ● 美樹工業株式会(建設業):現場と現場の情報共有促進の一環で、図面など立体的に管理したいファイル共有に活用
- ● 日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社(飲食業):アルバイト向けのコンテンツを保管し、教育ツールのペーパーレス化を実現。調理機器が壊れた場合にも、写真をアップロードし、管理者に即座に状況報告
現在、データは物理的な記録媒体で「持ち運ぶ」時代から、オンライン上へ「預ける」時代へと、着実に移り変わっています。記録媒体の見直し時は、こうした時代の変化を捉えた上で、セキュリティへの目配りも忘れずに選定するようにしましょう。