人事・総務の業務にもDXは必須? 現場が抱える問題と改善方法

2023年4月11日公開

止まらない革新、ID管理のその先へ

「社内にテレワークが普及したもののコミュニケーションが取れない、業務成果が分からない」
「働き方の多様化により、社員の管理や手続きが煩雑になった」

急速に進むテレワークやジョブ型雇用の整備により、従業員の管理や業務環境の整備を負担に感じる企業は多いものです。社員のワークスタイルを見直す動きがある一方で、組織の活性化が求められる問題に、人事・総務の担当者は今後どのような対応が求められるのでしょうか。

本記事では、人事・総務の業務を改善するDXツールについて導入するメリットや魅力を紹介します。

人事・総務で発生する「お困りごと」とは?

まずは、人事・総務においてDX化が進んでいないことによって発生する現場の「お困りごと」を紹介します。

災害やBCP対策で何をするべきか分からない

帝国データバンクの調査によると、2021年の事業継続計画(BCP)を策定している企業は17.6%と、前年から1.0ポイント上昇する結果となりました。年々増加傾向にあるものの、いまだに20%にも達しない水準です。

BCPを策定している企業を規模別で見ると大企業は32.0%、中小企業は14.7%であり、中小企業のBCP策定が課題の一つであると分かります。

BCPとは

企業が自然災害やサイバー攻撃などの緊急事態に遭遇した際、損害を最小限に抑えつつ早期復旧を実現できる体制を整えるための計画。想定されるリスクは自然災害が最も多いものの、近年は情報セキュリティ上のリスクの増加が目立ちます。

企業がBCPを策定していない理由として最も多かったのが「策定に必要なスキル・ノウハウがない」でした。それに「策定する人材を確保できない」「書類作りで終わってしまい、実践的に使える計画にすることが難しい」が続いています。

人材確保や業務効率化によって、計画作成の時間を確保することが課題でしょう。

勤怠管理と給与計算が一元化できない

正確な労働時間の把握は、適切な給与計算に欠かせません。残業時間などを把握できていないと、正しい給与計算が行えず従業員の満足度低下につながります。また、給与担当者の手間も増えてしまい、残業発生の原因となる恐れもあるでしょう。

さらに近年ではテレワークが普及し、正確な労働時間の算出が難しくなっています。もし適切な勤怠管理が実現すれば、テレワークの促進や休日出勤が発生している人には休暇促進を行うなどの対応も可能です。

入社などの手続きが煩雑過ぎる

人事・総務では、さまざまな業務において書類での手続きが発生します。

人事・総務で書類手続きが発生する業務の一例

  • ● 雇用契約
  • ● 入社手続き
  • ● 給与明細
  • ● 退職手続き
  • ● 年末調整

これらの業務を紙で管理していては、業務効率化は進まないでしょう。書類の郵送や受け取り、上司から印鑑をもらうために出社しなくてはいけません。

もし手続きのペーパーレス化や管理の一元化が進めば、業務効率化だけでなく、紙の削減によるコストダウンやSDGsの面でも貢献できるでしょう。

人事・総務で「お困りごと」が発生する原因と背景とは?

では、なぜ人事・総務において上記のような「お困りごと」が発生するのでしょうか。その原因と背景について解説します。

テレワーク環境の整備が追い付かない

新型コロナウイルスをきっかけに多様な働き方が広まり、テレワークを取り入れる企業が増えています。しかしテレワークを導入するには、適切に労務管理を行い、従業員が安心して働ける環境を整えなくてはいけません。

テレワークの導入に必要な環境整備

  • ● 書類や決裁の電子化
  • ● 適切なコミュニケーション環境
  • ● 人事評価制度の策定
  • ● 労働時間の適切な管理
  • ● 情報セキュリティ対策

企業内のDX化が進んでいないと、テレワークを実施するのが困難となります。多様な働き方を認めることは従業員満足度にもつながりますので、経営層を巻き込み全社でDX化に取り組みましょう。

労働基準法の改正

労働基準法はこれまでにも改正を繰り返しており、現在決まっている改正事項にも人事・総務で対応が必要な点があります。

月60時間以上の残業に対する割増賃金率引き上げ

2023年4月1日より、中小企業にも月60時間を超える残業には割増賃金率50%が適用されます。

これまでは、大企業のみ残業時間が60時間を超える場合50%の割り増しとなり、中小企業は時間に限らず25%でした。この改正以降は、中小企業の給与計算方法が変わるため、人事・総務ではオペレーションの変更が必要です。

時間外労働の上限規制

働き方改革の一環として大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から残業時間の上限が法律に定められています。この際、建設業・運輸業・医療は業務の特性や取引慣行の課題があり、適用が5年間猶予されていました。

2024年4月には猶予期間が終わり、残業時間の上限規制が適用されます。

業種上限規制
建設業災害時の復旧や事業の場合を除き、上限規制が全て適用
運輸業年間の残業の上限が960時間
医療年間の残業と休日出勤の上限が最大1,860時間

このように労働時間の管理を適切に行わなくてはいけないため、人事・総務では正確な勤怠管理が必須です。

「お困りごと」を解決する方法

実際に人事・総務において「お困りごと」を解決する方法を紹介します。

安否確認サービスを導入する

BCPの一環として、「安否確認サービス(トヨクモ)」の導入が考えられます。安否確認や情報集計だけでなく、対策指示まで行えるサービスです。

安否確認では、配信するメッセージや設問を自由に作成でき、部署や地域ごとに一斉配信が可能です。また、地震の震度や津波の高さなどに応じて自動配信も行えます。

情報集計では、メッセージ配信後の結果を部署ごとで確認でき、安全と回答した従業員には待機指示を行うなどの追加配信が可能です。もしユーザーが回答できないときは、管理者が代理で回答することもできます。

対策指示では、個別メッセージと掲示板で書き込みができるため、復旧作業の報告など即座に情報共有が可能です。

安否確認サービス(トヨクモ)の特徴

  • ● 強固なインフラ基盤
  • ● マルチデバイス対応
  • ● LINEオプション

安否確認サービス(トヨクモ)では日本で発生する大災害を想定して、100年間災害が起きていないシンガポールでシステムの構築・運用を行っています。また、バックアップ拠点として日本と米国を利用しているため、強固なインフラ基盤と言えるでしょう。

さらにスマートフォンやタブレット端末など幅広いデバイスに対応しています。どのような環境でも利用しやすい設計となっており、スマートフォンには専用アプリ、LINEオプションなどもあって、通知や回答の未達を防ぐことが可能です。

勤怠管理と人事給与の連携

業務効率化を進めるには、勤怠管理と人事給与を連携できるシステムの導入が考えられます。大塚商会では勤次郎や勤革時といったソリューションをそろえています。

Universal 勤次郎

「Universal 勤次郎」は、管理部門だけでなく組織全体の業務効率化を目指すシステムです。テレワークにも対応した出退勤管理やシフト調整、各種勤務申請・承認に対応しています。スマートフォンやタブレット端末でも操作可能なため、時間や場所を選ばずに操作できることが特徴です。

大塚商会の「SMILE 人事給与」とも連携できるため、労働時間と給与計算の連携も実現できます。

勤革時

「勤革時」は働き方を改革するためのクラウド勤怠管理システムです。
クラウド型のため最新の勤怠状況をリアルタイムで確認でき、直行直帰の場合もすぐに状況の把握が可能です。残業の過多や遅刻回数、打刻漏れなどに関するアラート機能も付帯しているため、月末の労働時間調整や修正処理に時間がかかることもありません。

「勤革時」も「SMILE」シリーズなどの給与計算システムとデータ連携が可能であり、給与計算の業務を効率化できます。

人事労務管理システムの導入

「SmartHR」は雇用契約や入退社、年末調整などの労務手続きをペーパーレス化できる人事労務ソフトです。勤怠管理や給与計算システムとも連携できるため、人事・総務の生産性向上が期待できます。

個人情報を従業員に入力してもらうだけで、社員名簿に情報を集約することが可能です。住所変更や扶養変更の手続きを行う際も、自動で従業員名簿が更新されるので、人事・総務担当者の負担軽減につながります。

労務手続きを紙で行っていると、業務のために出社が必須となってしまいますが、このような人事労務ソフトを導入することで、人事・総務のテレワーク促進が実現できるでしょう。

コミュニケーションツールの導入

「Microsoft Teams」や「Zoomミーティング」を導入することで効率的にコミュニケーションを取ることができます。離れた場所にいてもWeb会議や通話ができるため、社内ミーティングのスケジュール調整や会議室の予約、遠方顧客訪問のための出張を必要とせずに連絡を取ることができます。

会議や営業のための出社や出張は時間を取られるだけでなく、交通費も発生します。コミュニケーションツールを導入することは、生産性向上のみならずコスト削減にもつながるのです。

「どこでもマルチコミュニケーションサービス Lite」と「たよれーる どこでもコネクトリモート」で柔軟なアクセスを実現

テレワークの促進が進まない企業の原因として「外線・内線電話を取らなくてはいけない」「自宅では社内ネットワークにアクセスできない」ということもあるでしょう。その際に導入できるサービスを大塚商会では取りそろえております。

どこでもマルチコミュニケーションサービス Lite

「どこでもマルチコミュニケーションサービス Lite」とは、スマートフォンやPCに専用アプリを導入することで、内線電話端末として利用できるサービスです。

「どこでもマルチコミュニケーションサービス Lite」でできること

  • ● 内線電話を受ける
  • ● 内線電話をかける
  • ● 外線電話としてお客様に連絡する
  • ● 事務所にかかってきた外線電話を受ける

内線番号は複数の機器で使用できるため、働く場所に応じて端末を選ぶことができます。

このサービスを導入することで電話番としての出社をなくし、多様な働き方の選択肢が増えるでしょう。

たよれーる どこでもコネクトリモート

「たよれーる どこでもコネクトリモート」とは、インターネットにつながる環境であれば、出社しなくても社内ネットワークに接続できるサービスです。IDとパスワードだけでなく、証明書による端末認証によって特定の端末からしかアクセスできないように設定可能です。そのため、セキュリティ面を考えても安心して使用できます。

会社によっては、社内のPCを持ち出せない場合もあるでしょう。その際はシンクライアントオプションがおすすめです。

自宅のPCに専用USBキーを挿すだけで、社内のデスクトップ画面を表示し、遠隔で操作できるオプションです。データを自宅PCに保存できない、自宅PCのOSを通さないとった特徴があるので、情報漏えいやウイルス感染の恐れがありません。

リモートアクセスによってテレワークの促進を図れる

働き方の多様化によって、テレワークやサテライトオフィスの利用など、さまざまな環境で働く選択肢が増えました。しかし企業内で環境を整えていないと、テレワークなどの従業員の自由な働き方は実現できません。

大塚商会では書類の電子化や社内ネットワークへのアクセス環境など、幅広いソリューションを提供しています。従業員の満足度向上のためにも、ぜひ大塚商会へご相談ください。

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