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ERPスペシャリストのイチオシ!

決算書は経営の役には立たない!
~企業を成功に導くには真の「会計力」が必要~

経営や財務状況を把握するために作成される決算書。この決算書は本当に経営の役に立つのでしょうか。経営の意思決定は日々求められ、そのために参照する数字は刻々と変化します。決算書が一定の役に立つことは事実ですが、企業を成功に導くためには、それだけでは十分ではなく、真の「会計力」を身に付ける必要があります。本記事では、「会計力」を向上するためのイチオシ提案をひもとくため、コンサルタントの岸塚にインタビューしました。

業務改革の方向性を探るコンサルティングサービス

大塚商会では岸塚をはじめとして複数のコンサルタントによるコンサルティングサービスをご提供しています。そのサービス内容、岸塚の人物像などについてご紹介します。

プロフィール

入社後から、基幹業務システム「SMILE」シリーズの営業を担当。お客様の問題解決を支援するため、スキル向上の一環として営業活動の傍らシステム監査技術者とシステムアナリストの資格を取得し、同時に会計の勉強も本格的に進める。現在はコンサルティングサービスセンターのコンサルタントとして、経営課題の原因分析や改善方法の検討、そのために必要なシステムの要件定義といったサービスを提供している。

システム導入よりも上流でのコンサルティングサービスを展開

コンサルティングサービスセンターの概要についてご説明ください。

現状とあるべき姿を比較して業務上の問題点を洗い出し、原因分析を実施して改善方法の検討やシステムの要件定義を行うサービスがメインになります。

システム導入が前提となるのではなく、業務改革の方向性を探るということから始めるということですね。

はい。まずはお客様の経営層や各部門の方々にヒアリングを実施し、問題点を洗い出します。そこで抽出された数々の問題点について集約と定義付けを行い、その原因を分析していきます。すると、表面上からは分からない部分に原因がある、あるいは部門をまたいで因果関係があるということが判明します。

そのように問題点の真の原因が明確になった後は、どのように業務改革を進めるのでしょうか。

具体的な改善方法を検討して業務モデルを作成します。業務のやり方やルールを変えることで実現できる部分もありますが、システムで実現する部分もあります。結果として基幹業務システム「SMILE」シリーズを導入する、あるいはBIやRPAといった仕組みを導入することも多いですね。業務改革の実現に向けたロードマップを策定してプロジェクトを推進していきます。

管理会計を実践し、会社経営に役立つ「会計力」を身に付ける

経営に役立つ数字は、決算書だけでは十分とはいえません。管理会計を実践し、会社経営に役立てる真の「会計力」を養うことが大切です。

お気に入りのネイビーカラーで統一したアイテム。手帳はこだわりの英国製。

高いニーズが寄せられる月次決算の早期化

コンサルタントとしてお客様を対応する際、どのような相談が寄せられますか。

経営者が見る業績の指標、例えば月次決算資料をまとめるのに時間がかかっているので何とかしたいという相談は多いですね。翌月の後半になってようやく提出されるといったように、前月の数字を見るまでに1カ月近くを要しているケースもあります。

月次決算の早期化というテーマは以前から不変のものですね。

そうですね。さらに言えば、捉えている数字が本当にこれでいいのかという疑問を抱かれているケースもあります。会社全体はよいが商材別や部門別で利益を上げているのか分からない、あるいは利益として確認している数字にコストがきちんと反映されているのか、漏れている労務費などを入れると赤字かもしれないなどといった疑問です。

こうした課題解決にコンサルティングサービスが役立つということですね。

コンサルティングサービスが有効に機能するための役割は二つあると考えています。一つは多くの他社事例を踏まえた提案です。同様の課題を抱えた他社ではどのように解決したのかということを、システムの対応も含めてご紹介することが可能です。もう一つは部門間で考え方に温度差がある場合の調整です。第三者の立場から意見をまとめることで全体最適を図ることが可能になります。

決算書は経営の役に立たない

今回のテーマは「『決算書は経営の役には立たない!』~企業を成功に導くには真の『会計力』が必要~」ですが、決算書はなぜ経営の役に立たないのでしょうか。

どの企業でも決算書を必ず作成しますが、決算書は年度や四半期のまとまった数字です。経営者が1年に数回しか数字を見ないということはありません。

年度や四半期でまとめる決算書は、月次・日次で参照するにはふさわしくないですね。

はい、また部門別、製品別、顧客別などで数字を見たい場合、会社全体の数字をまとめた決算書では分かりません。さらに、決算書の数字は、人件費などの固定費が機械的に配賦されるなど、必ずしも経営の実態が反映されているとは限りません。

確かに決算書から分かる数字だけでは、的確な経営判断を下すことはできません。

決算書の数字は過去の結果であるという点も問題です。経営者はこれからの見通しを立てるために資料を参照するのですから、予算や前期との比較もない決算書ではそれらの判断ができません。

企業を成功に導くには真の「会計力」が必要

決算書が役に立たないのであれば、企業を成功に導くためには何を活用すればいいのですか。

そのためには真の「会計力」が必要だと考えています。「会計力」というと「決算書を読む力」と考えられがちですが、私が提唱する「会計力」とは「管理会計を実践して経営に役立てる力」を指しています。

具体的にはどのようなことを実践すればいいのでしょうか。

それには四つのポイントがあります。一つ目は「実績をタイムリーに把握できていますか?」ということです。月次の数字が翌日の20日頃にやっと分かるようではタイムリーとは言えません。適時に実績を把握するために何が足りないのか、阻害要因は何かを洗い出し、ルールや業務を改善することが必要です。

二つ目のポイントは何でしょうか。

「どこが伸びているか分かりますか?」ということです。部門別、製品別、顧客別、プロジェクト別など、自社のビジネスに合わせたさまざまな切り口で業績を把握できることが大切です。数量や時間など現場部門で管理する金額以外の数字も重要になります。つまり「会計力」には、会計システムの情報だけではなく、販売管理や生産管理システムなどの基幹業務システム全体に散らばっている情報を活用することが求められるのです。

三点目には「本当にもうかっていると言えるか」というポイントを挙げられていますが、これはどういうことでしょうか。

利益を把握するために見るべき数字を定義することです。実態に応じて原価や経費などを適切に反映させ、意思決定につなげることが大切です。また、部門ごとに責任の範囲を決め、それに従って利益計算に組み込むコストの範囲を変えることで、各部門の業績を適切に評価することができるようになります。

最後のポイントは「今後の見通しは立てられますか?」ですね。

計画に対して実績がどうだったのかという予算管理の仕組みを短期間で回していくことが大切になります。例えば、月半ばまで経過した時点で実績を確認し、計画に対する着地点を見直します。このように計画と実績をリンクさせてPDCAを回していくことが重要になります。

そうしたポイントを押さえながら管理会計を実践することが「会計力」向上につながるのですね。

そのための手段としてERPシステムを活用する、あるいはBIツールを使ってERPシステムから数字を吸い上げる仕組みを整えるということになります。コンサルティングサービスは、「会計力」を高めるためのポイントを具体的に検討するところからお手伝いします。

コンサルティングでの方向性をお客様が受け入れられないということはありませんか。

私たちが提供するサービスは、事業戦略などを提案するタイプの戦略系コンサルティングではなく、お客様が抱える業務上の課題を分析してその解決を支援する業務系のコンサルティングですので、お客様と方向性が異なることは多くありませんが、一方的な提案にならないように、お客様の実務担当者を交えたレビューなどにより方向性の擦り合わせも行っています。

機械の標準原価を設定し、利益を明確化

これまで手掛けてきたコンサルティングの事例を紹介していただけますか。

油圧ショベルやダンプなどの建設機械のレンタルを行っている東京レンタル株式会社様では、基幹業務システムの再構築を機に、これまでの業務課題を改善していきたいというご相談を頂きました。

どのような課題があったのでしょうか?

各部門のヒアリングを行った結果、幾つかの課題が出てきました。主なものとしては、レンタルする機械の在庫状況やメンテナンス履歴などの情報が分散していたため、これらの情報を営業活動にうまく活用できず、稼働率の低下や機会損失を招いていました。また、個々の機械の購入や修理にどれくらいのコストがかかっていて、どれくらいの利益を生み出しているのかの分析も十分にできない状況でした。

そこでコンサルティングサービスはどのように関わったのでしょうか。

レンタル機械に関する情報の一元化をご提案しました。機械ごとの入出庫や修理点検の予定をシステムで管理し、稼働状況を可視化することで、稼働率の向上や機会損失の回避が期待できます。また、個々の機械の簿価や減価償却費、メンテナンス費用などのさまざまな要素を掛け合わせ、機械の標準原価を設定することで、機械の稼働による利益が明確になり、得意先別や担当者別の収益性の分析や業績評価に役立てることができます。

どのような成果が挙がっていますか。

コンサルティングの内容を踏まえたシステム開発により、機械の稼働スケジュールの調整がスムーズになり、また、基幹業務システムのデータを活用して、さまざまな角度から分析ができるような環境が整ったと伺っています。

現状の課題をしっかりと分析し、その解決に向けた手順を踏むことで、必ず「会計力」向上の道筋を見いだすことができるのですね。ありがとうございました。

ERP導入についてお気軽にご相談ください。

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