「その業務やめてしまいませんか」!?

 業務改善を行う場合の多くは、業務プロセスを見直していきます。しかし、業務そのものの廃止を検討することも重要です。非効率な業務や付加価値の少ない業務は、やめてしまうことが一番の改善策になるからです。

 オフコンユーザA社の電算室は、各部門の要求に応えて管理帳票を印刷し、月初まとめて送付していました。その量はストックフォーム10箱にも及びます。各部門は新たな要求を電算室に伝えます。しかし、不要になったことは伝えません。私は、IT担当の取締役に提案しました。

「この業務やめてしまいませんか?」

 取締役は、驚きました。現場からクレームが上がることは確実であり、それはできないという回答でした。分析の結果不要な帳票が多くある可能性が高いこと、要求があれば即座に印刷して送付することで現場からクレームが上がらないようにすることをお話して渋々了解をいただきました。

 実行初月、各部門から管理帳票の要求が次々に入ってきます。電算室全員でその対応に当たり、2日間で対応が完了しました。結果、ストックフォーム2箱分の帳票を各部門に送付しました。つまり、今まで印刷していた管理帳票の8割は不要な帳票であったということです。

 次に、新システム導入を計画しているB社の事例をご紹介します。業務の効率化だけでなくカスタマイズボリュームを少なくするために、システム導入に先立って業務改善コンサルティングを実施しました。

 B社の支払業務は、業者から来る指定請求書に基づいて行われていました。月末になると集中して送られてくる業者からの請求書を、業務担当者3名が2日がかりでチェックします。日付の誤り、捺印モレ、金額の不一致、請求モレ等多くの誤りがチェックされ、業者に訂正を依頼していきます。毎月この2日間、業務担当者は夜遅くまで残業しなければなりません。

 私は、業務課長にお聞きしました。「なぜ、この業務が必要なのですか?」業務課長は、「業者に正確に支払うためには必要な業務だし、うちは昔からこうしているんです。」と答えてくれました。私は、業務課長に提案しました。

「この業務やめてしまいませんか?」

 「この業務をやめたら、支払業務がめちゃくちゃになっちゃいますよ。」とおっしゃる業務課長に、送られてきた請求書をもとに支払うのではなく、新システムから出力した支払通知書を業者に送って、それに基づいて支払業務を行うことを提案しました。

 提案は受け入れられ、新システム導入後、請求書チェック業務はなくなりました。業務課の月末業務は効率化され、業務担当者のみなさんも定時に帰宅できるようになりました。
簡単に考えることができる改善案ですが、現場の方々は昔からそうしている業務をやめるという考え方をなかなかできないようです。

 「昔からそうしているから」や「前任者からそのように引き継いだから」が、その業務を行っている理由であれば、こう言ってみてください。

「その業務やめてしまいませんか」!?

この記事の著者

株式会社大塚商会 コンサルタント

藤橋 勝義

昭和57年入社。アプリケーションSE、プロジェクトマネージャーの経験を活かして、業務改革、IT導入支援、内部統制、IFRS対応などのコンサルティング業務に従事。
公認IFRSスペシャリスト、上級内部統制管理士、プロジェクトマネージャー、アプリケーションエンジニア、データベーススペシャリスト

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