「業務の流れ」「ルール」「システム」の3点セットを見直して違算を削減!

 製造・卸業のA社では、請求書の違算のチェックに多くの時間を費やしていました。
違算※の原因として一般的なものは、

1.単価違い 2.伝票未達 3.締日での前後

などが挙げられますが、A社で原因の分析を進めたところ、返品伝票の処理が「正しく」「適時に」実施されていないことが、全体の70%程度を占めていることがわかりました。

 では、なぜ「正しく」「適時に」実施されていなかったのでしょう・・・

 「正しく」できない理由は、返品倉庫を見れば一目瞭然でした。
大手量販店を得意先にもつA社では、売り場にあった商品が値付けされたまま、無造作にダンボールに入れられて返品されていました。中には、自社のものでは無い商品も紛れ込んでいることもありました。これを1点1点確認して、得意先からの返品伝票と照合することなど、コストがいくらかかってしまうかわかりません。(倉庫では再販可能商品のみ返品処理)

 これに関しては、「基本的には得意先の返品伝票を正とする」こととして、開封による返品単価の減額や返品不可商品の返品があった時の対応は、営業が責任範疇で処理することとしました。この時、システムからは返品率(数・金額)のワーストリストや、返品不可商品入力時のアラートを出すなどして、業務を支援しています。また、営業の評価に対する返品(特に開封品や季節商品)の影響度を大きくすることで、不用意な返品を受けない様にする対策をとりました。
余談にはなりますが、季節商品は転売先を見つけてくることで、返品のペナルティを緩和する評価ルールも同時に取り入れています。

 次に、「適時に」行われなかった理由ですが、その答えは営業の机の中にありました。
返品伝票を切ると、当然その月の販売実績がマイナスされるので、業績のよくない月には翌月に回してしまおうと机の中に忍ばせている人が、少なからずいたのです。
 そうしたい気持ちはよーくわかりますが、そのために違算が発生し、その調査に多くの時間をかけることになってしまいますし、利益操作にも繋がってしまいます。営業以外の人に返品伝票を入力してもらえば解決するのですが、前述のとおり、返品伝票の金額の確定は営業しかできません。

 そこで、当初は金額以外を、返品を受ける倉庫で入力してもらうことを提案しました。しかし、人員の関係で難しく、話し合いの結果、伝票のヘッダ部分にあたる「いつ、どこから返品があったのか」と「得意先の返品伝票の番号」だけを入力してもらうこととしました。営業が返品入力時にこの情報を消し込んでいくシステムとすることで、未処理の返品をチェックし、入力を促すことができる様になりました。

 この様に、ただシステムを導入するだけではなく、「業務の流れ」「ルール」「システム」の三つを合わせて見直すことでこそ、システムの導入目的を果たすことができるのだと考えます。
システムはあくまで業務を正しく円滑に処理するための「ツール」です。「業務の流れ」「ルール」「システム」を合わせて見直すことで、皆様の経営課題の解決を目指しませんか。

※違算:自社の認識額と取引先の認識額との差異のこと。計上方法の違いや計上時期の違いによって発生する。

この記事の著者

株式会社大塚商会 コンサルタント

野呂田 章宏

平成8年入社。アプリケーションSEとして10年間、業務システムの開発・運用に従事。その後、セールスサポート部門での、システム企画・提案を経て、現在のコンサルタント職に至る。業務改革とシステムの両軸から、お客様の経営課題解決と利益追求に貢献。

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