業務改革プロジェクトで妥協は許される?

多くの企業が業務の効率化や営業力強化を目指して、業務改革に取り組まれます。
私どもにも「業務改革実行の支援はできないか」といったお問い合わせを頂きます。そのような企業様では、過去に業務改革に取り組んだことがある場合も多いのですが、なかなか結果に結びつかなかったというお話が多いの事実です。

なぜ、結果を出すことができなかったのでしょうか。
先日、私がお伺いさせていただいたA社様でも、「過去に業務改革に取り組んだが失敗だった」という話が出ました。
そこで、どのようなプロジェクトで、どのような計画だったのか教えていただきました。
外部の支援を借りて、業務改革実行計画書を作成されていましたので、拝見させていただきました。
さすが外部の専門家と思わせるような、それは綺麗でまとまった資料で、またページ数も相当なものでした。
これだけの内容を作り上げるには、さぞA社様もご苦労されたのではないかと推察されます。
にもかかわらず、この業務改革実行計画書は採用されず、お蔵入りとなっていました。

計画書には現状の問題点が整理されており、今後実現すべき業務に関しても精緻(せいち)な記載があり、まさに理想の業務モデルといっても過言ではないかと思われました。
しかし、拝見した際の私の第一印象は、「きれいすぎる」でした。理想の業務モデルは重要ですし、否定されるものではないのですが、計画書である限り実行できなければ意味がありません。
「きれいすぎる」業務モデルでは、実際のビジネスシーンで発生する枝の業務に対応でき無い場合があります。
では、枝をなくせばいいのでしょうか。現実問題、取引先との関係や自社の人員数、スキルレベルなどの事情から、枝をなくせないというのが、現場の事情ではないでしょうか。「言うは易し、行うは難し」です。

それでも、業務改革プロジェクトは、「現状とあまり変わらない・・・」ということに拒否反応を示し、理想を追求しがちです。
繰り返しますが、理想は追求しなければいけません。
しかし、それだけでは、理想は実現できないということも事実です。実現するには実現できる範囲とレベルを見極めることが重要です。
一足飛びに、物事を進めるのでなく理想に近づくためのステップとして、理想型から現実へ向けての妥協型をステップ単位で考えなければなりません。
妥協案Aを達成してから、妥協案Bへ、これを繰り返しながら理想の業務モデルを実現していきます。
A社では、この妥協案が一切ないために、現実の業務に適用ができませんでした。
と言うより、適用する前に「絵に描いた餅」として、諦められたのです。当時のプロジェクトメンバーは、さぞや落胆されたのではないでしょうか。
長い時間をかけて完成させた計画が、計画だけで終わってしまったのですから。

よく、業務改革プロジェクトでは目標を共有し、全社一丸で取り組むことが大事であるといいます。
これは、姿勢・意識の部分であり、いくら熱意を持って取り組んでも一朝一夕にはできないものもあります。
時間をかけて達成するものもあれば、妥協案によって、部分達成を継続させていくものもあります。
理想を追求するうえで、どの様にすれば、実現できるのか検討していく中で生まれる妥協案、これは許される妥協であり、次につなげるために必要な要素と言えます。

次回は3月18日(月)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 コンサルタント

山内 良治

オーダーシステム開発、運用サポートの経験を生かし、セールスサポート部門にて業務コンサルティングやシステム企画を立案。業務改革コンサルティング、RFP作成支援及びプロジェクト管理に加え、内部統制関連サービスを立ち上げ、実務にも従事。コンサルティング部門の管理職を兼任し、コンサルティング業務全般のプロジェクト管理を行う。

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