合意形成のポイント

スムースなシステム導入を実現するプロジェクトを適切に運営していくためには、いくつかのポイントがあります。
成果物と実施すべき作業内容を規定したWBSを適切に作成する。
お客様側プロジェクトとベンダー側プロジェクトの円滑なコミュニケーションを図る。お客様とベンダーの役割分担を明確にする。
リスクを明確にし、迅速な対応を行う。他にもいろいろありますが、これらすべてに共通している事は、お客様とベンダーの合意形成が重要であるという事です。
常に合意形成が図られていればプロジェクトは順調に進捗しますし、合意形成が不十分であれば、プロジェクトは迷走します。
迷走したプロジェクトの立て直しに参画した経験から、合意形成のポイントを3点挙げてみます。

まず合意形成しなければならないのは、「システム導入の基本方針」です。
例えば、パッケージと現状業務にGapがあった場合、どのように対応するのかがあります。

 【1】現状業務に合わせてパッケージをカスタマイズする。
 【2】業務手順を変更してパッケージに業務を合わせる。
 【3】極力業務をパッケージに合わせるが、カスタマイズも検討する。

【1】は、利用者部門にメリットがある場合が多いですが、導入費用と導入期間が増大します。
【2】は、導入費用と導入期間は削減できますが、利用者部門に負担をかける場合があります。
【3】が一番よさそうですが、打ち合わせ工数が増大する事とカスタマイズの判断が難しいというデメリットもあります。
システム導入の目的とそれぞれの対応方法のメリット・デメリットを考慮して方針を合意しておかないと、打ち合わせが紛糾してシステム導入の進捗が遅れていくケースがあります。

ベンダーが作成する「ドキュメントの粒度」も、合意すべきポイントになります。この合意形成を怠ると、お客様にとってもベンダーにとっても不幸な事になります。
お客様が満足のいかないドキュメントに我慢する事になるか、ベンダーが追加工数を投入してドキュメントの大幅な手直しをする事になります。
特に「要件定義書」の粒度に関しては、事前の合意形成をお薦めします。
ベンダー側には標準の「要件定義書」サンプルがあるはずです。それを提示してもらい、お客様にとって十分な粒度であるかを確認します。
不十分な点があれば、追加を協議します。
一見無駄な作業のように思われるかもしれませんが、後工程の事を考えれば必要かつ価値ある作業です。

三つめとして、「打ち合わせの進め方」を合意形成します。例えば、パッケージフィッティングコンサルティングではベンダーSEが現状業務を理解するだけでなく、お客様がパッケージを理解する事も重要な点になります。
ベンダー側の標準的な進め方でパッケージを理解する事ができるのかどうかを、お客様側参加者の経験やスキルをもとに判断します。
もし不安があれば、打ち合わせの進め方に要望を出して事前に合意する事が必要です。

こうした合意形成の積み重ねこそが、お客様とベンダーとの信頼感を高めるポイントになります。

次回は5月19日(月)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 コンサルタント

藤橋 勝義

昭和57年入社。アプリケーションSE、プロジェクトマネージャーの経験を活かして、業務改革、IT導入支援、内部統制、IFRS対応などのコンサルティング業務に従事。
公認IFRSスペシャリスト、上級内部統制管理士、プロジェクトマネージャー、アプリケーションエンジニア、データベーススペシャリスト

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