ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
業務の見える化の進め方<3>「現状業務の負荷調査」
前回、「現状業務の棚卸」について書きましたが、今回は負荷調査という点に関しての紹介をしたいと思います。
1回目に、業務の見える化では、PDCAのCができることが大事であり、そのためには
<1>業務手順が明確になっていること。
<2>業務手順が周知されていること。
<3>業務負荷(所要時間)標準が設定されていること
<4>日々の中で手順の逸脱、業務負荷の異常が発見できこと。
の4要素をそろえなければならないと書きました。
今回の「現状業務の負荷調査」は、<3>業務負荷(所要時間)標準を設定するための作業として位置づけられます。
負荷調査は、業務の棚卸時点で同時に着手するのが望ましいと考えられます。現状、どの様な業務を実施しているかを調査する時点で、その業務の負荷調査を同時実施します。
負荷調査では、大きく時間調査と業務量調査、スキル調査に分かれます。それぞれの調査において留意すべき事項があります。
時間量調査は、当該業務に要する時間を調査します。これはストップウォッチで厳密に測る必要はありませんが、あまりにもいい加減では意味がありません。前後30分程度の誤差が限界かと思われます。この時間量では、段取りと呼ばれる時間や、割り込みによるロス時間の考慮も必要となります。専任で実施している単一業務でない限り、実際業務時間プラスαを見込んでおくほうが良いでしょう。
また、曜日・月末・時間帯などで必要とされる時間も変わりますので、繁忙・閑散双方の時間を調査し、カレンダーにプロットす
ると分かりやすくなります。
この時間量調査に、業務量を加えます。通常、業務量と時間量は比例すると考える方がおられますが、実は比例しません。10を処理するのに30分要する場合、20を処理する時に1時間要することになりません。段取り・前後のロス時間・集中実施による効率の向上などがあるからです。他、システム利用による自動処理が関係する場合も同様です。
つまり、繁忙期の業務量と時間量の関係、閑散期の業務量と時間量の関係を明確にしておく必要があります。
そして、スキル調査を行います。スキル調査とは業務担当者のスキルを調査するわけではありません。当該業務を実施する際に、その業務に関する習熟度が負荷にどれだけ影響があるかを調査することです。例えば、経理関連業務であれば、習熟度によって時間量が変動する幅が大きいと考えられます。スキル調査は、特定スキルを要する業務か、一般スキルで実施可能な業務なのかを定義する作業です。
以上の3要素を調査することで、カレンダー上に、「いつ」「どの業務が」「どの程度の量が発生し」「そのスキルレベルの人が」「何人で」「何分かけて」実施しているのかが明確になります。支店・営業所などで実施されている業務の場合、「どこで」を加えま
す。
この業務量調査結果を基に、現状の標準業務時間を算出します。ここから、次のフェーズである「業務手順の明確化」、いわゆる「業務の標準化」へと入っていきます。
次回は、2012年5月14日(月)、業務の見える化の進め方<4>「業務の標準化」です。
前の記事を読む
次の記事を読む