業務の見える化の進め方<2> 「現状業務の棚卸」

前回、「業務の見える化」の第一歩として、現状業務の棚卸があると申し上げました。
今回は、この現状業務の棚卸に関して、その進め方などを紹介したいと思います。

私達もさまざまな企業様で、この現状業務の棚卸をお手伝いしています。その際、留意することとして、「棚卸」であるということを強調することが多くあります。

通常、棚卸と言いますと「在庫の棚卸」を指します。この時、「この商品(材料)は、100個あるはずだから、棚卸は100個」というようなことはしません。どの企業でも実際の倉庫で作業者が数を数えます。ハンディターミナルなどを用いて省力化とともに、
正確性を追求される場合も多いですが、実際の現場で行われることに変わりはありません。

「現状業務の棚卸」も同じです。現在の業務ルールを洗い出すわけではないのです。実際の現場で、各実務担当者、管理者が何をしているのかを洗い出していくことが重要となります。一見当たり前のことを書いているようですが、自社で取り組む際には、これが大変な労力を伴う作業となります。

どのような会社でも業務のルールというものが存在します。ただ、業務ルールが形骸化しており現実と異なる場合や、業務ルール自体が大枠の部分しかなく、具体的な業務手順は各現場で慣習的に認識されている場合などがあります。先の例でいえば、「100あるはずだ」という部分すら怪しくなってきます。

では、「現状業務の棚卸」はどのように進めていけばよいのでしょうか。アプローチの方法は大きく2種類あります。

  • 白紙状態で、アンケート(業務調査)を実施し、補完のヒアリング調査を行う。
  • 事前に雛形を作成し、アンケート(業務調査)を実施し、差分がある場合は集約後に調整する。

それぞれ、メリット・デメリットがありますが、効率よく一定の精度を確保するには、2の手法が良いかと思われます。

まず、各業務のキーマンを選定し、各部門で実施している業務項目を洗い出しします。標準的な業務項目は一般的なものを活用できますので、さほど労力はかかりません。半日程度で完成できます。業務項目の洗い出しができれば、業務調査票が自動的に完成されます。

これを社内に配布し収集することになります。中には、キーマンレベルで洗い出しが漏れることもありますが、その場合は、被回答者に追記してもらいます。双方で漏れる場合はどうするのかという質問も受けますが、双方で漏れるものは重要性が低いと判断し、実地調査で拾い上げることにします。

このフェーズで重要なことは、標準的な業務項目を作成することです。ここでの漏れが多いと非効率どころか、現実が反映されない作業となり、棚卸と言えなくなります。このため、業務単位・業種業態単位でのテンプレートを用いることが望ましいと言えます。標準モデルを活用しながら自社の業務一覧を作成していくことで、効率的に精度の高い業務調査が可能となります。これで業務項目の棚卸が完成します。

次のフェーズは、各業務項目でどれだけの負荷(所要時間)があるのかという調査になります。これは業務調査段階で同時に行いますが、次回に紹介させていただきたいと思います。

次回は、2012年5月7日(月) 業務の見える化の進め方<3> 現状業務の負荷調査です。

*今回ご紹介した、アンケート(業務調査)、標準的な業務項目などは当社が活用しているツールにて提供されます。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 コンサルタント

山内 良治

オーダーシステム開発、運用サポートの経験を生かし、セールスサポート部門にて業務コンサルティングやシステム企画を立案。業務改革コンサルティング、RFP作成支援及びプロジェクト管理に加え、内部統制関連サービスを立ち上げ、実務にも従事。コンサルティング部門の管理職を兼任し、コンサルティング業務全般のプロジェクト管理を行う。

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