回収管理はとっても重要!

今回は、『会社にとって回収管理はとっても重要!』という事例をご紹介したいと思います。
A社は日用品雑貨の卸売業です。
これまでは、創業一族のリーダーシップのもと、順調に売上を伸ばしてきました。
…ですがある時期、資金繰りに行き詰まり危機を迎えてしまいました。
あわや倒産!?寸前のところで、同業の上場企業であるK社が支援の手を差し伸べて、辛うじて生き残ることができました。
私はK社からご支援の依頼を頂いたコンサルタントとして、A社の業務改革および、新基幹システム構築のお手伝いをすることになりました。
A社の皆様は日々の仕事をまじめにこなしている人ばかりでした。
倒産直前の当時、上司や経営陣のやり方に不安を覚えながらも、異を唱(とな)えることもできぬまま、黙々と日々の仕事をされてたそうです。
A社の末期にはいったい何が起こっていたのでしょうか!?

A社の成長を支えていたのは積極的な営業活動と、それを支える営業成績管理、営業成績によって営業マンに出される奨励金等の施策でした。
しかし末期にはそれが裏目に出ました。
営業成績を管理されている営業マンは、どんどん日用品を小売店に販売しますが、実は『販売代金の回収』という点については、あまり重きをおいて管理はされておらず代金回収は営業任せになっていました。
その結果はどうなったのでしょうか。
売上は上がりますが売掛金の回収は思うように進みません。小売店からの返品も増えました。
得意先の倒産による貸し倒れや、営業成績のよかった営業マンの退職による回収残の情報伝達漏れ等もあり、売掛金は増え、急速にA社の資金繰りを圧迫していきました。
本来、資金繰りの番人になるべき経理部は何をしていたのでしょうか。
残念ながらA社の末期には、全く牽制機能が働いていませんでした。創業一族の社長から長年経理部長を任されていた担当役員は売掛金のチェックを強化するどころか、自らが資金の着服や持ち出しまで行っていたそうです。
会社の末期はこんなもんですかね。。
結局その経理担当役員は逃亡するかのように会社を退職したそうです。

さて、K社の傘下に入った後のA社では、様々な業務改善計画が打ち出されました。
『回収管理の強化!』も当然その中の重要な施策の一つです。
K社でピックアップされた課題点は以下のとおりです。

  • 回収が営業任せになっており、管理が不十分である。
  • 与信管理や、与信限度額の設定ができていない。
  • 取引条件(回収サイト等)の見直しができていない。
  • 営業が取引条件を理解していない。

これらを解決するためには『システム面の改善』と『システム以外の改善』を並行して行いました。
『システム面の改善』は、回収条件や、未回収残高、滞留債権等のシステムでの共有、与信管理の実施等が挙げられます。
しかし、今回の場合は『システム以外の改善』が非常に重要になりました。
システム以外の改善としては、営業マンの教育、売掛金回収に対する評価の導入、経理での定期的な回収チェックの実施等がありました。

A社では過去の反省から、上記改善施策によって生まれ変わりました。
従業員もイキイキと日々の仕事をするようになりました。
上記は少し極端な例かも知れませんが、『会社にとって回収管理はとっても重要!』という事例でした。

次回は5月20日(月)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 コンサルタント

明神 隆志

平成11年入社。アプリケーションSEとして基幹業務システムの開発・運用に従事。その後コンサルティング部門で業務改革コンサルティング、内部統制コンサルティング等に携り現在に至る。
保有資格:中小企業診断士、システム監査技術者、システムアナリスト等

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