パッケージシステムと商習慣とのジレンマ

最近、オーダーシステムからパッケージシステム導入に切り替わられるお客様のシステム導入の上流工程に参加することが多くなりました。プロジェクトスタート時にシステム導入責任者の皆様がおっしゃってくださるのが「パッケージシステムに合わせた業務に変える」という目標です。しかし、実際に打ち合わせが始まると、Fit&Gap分析などの上流工程時に多くのジレンマとぶつかります。
今回は、パッケージ導入にて商習慣とのジレンマを解決されたお客様をご紹介します。

建設業のH社様は各業者と支払条件の基本契約を締結されてはいるものの、担当者が工事ごとに支払条件を変更して、本社経理部に支払依頼を行うことが慣例となっていました。業者1社に対して複数工事の支払を行うため、経理では工事ごとの支払条件と基本契約を確認されており、現状ご利用のオーダーシステムにはその支援機能が実装されていました。
しかし、新たに導入されたパッケージシステムでは支払条件は支払先単位でのみ管理するのみで、現状業務に沿った要件を実現するためにはカスタマイズとなります。当初、経理部からはカスタマイズ必須と回答を頂いていたのですが、私には担当者判断で支払条件を変更してよいのかという点が気になりました。そこで、社長のご判断を仰いだところ、①「1業者・1支払条件」を基本とし、工事ごとの支払条件は不可とする、②どうしても支払条件を変更する場合は事前承認を行う(システム外)との決断を頂きました。

このご判断により工事ごとに支払条件が変更になることが格段に少なくなり、パッケージ運用で対応可能となりました。もちろん開発費用も保守料も抑えられたことはいうまでもありません。しかし、どうして支払条件の統一が可能だったのでしょうか。
実は、工事ごとに支払条件を変更していた大半の内容が現金・手形の比率を変えるというものでした。工事によっては手形ではなく現金支払を業者から要求されるためです。そこで、そもそも現金手形比率を変更しなくてもよいように、現金割合を高めにする支払条件を了解されたのです。自社資金繰りに直結するテーマでもあり、経営者だからこそ決断頂けた内容でした。

こちらのH社様のように仕入先との取引条件まで踏み込んだ業務の変更はなかなか実施できるものではありません。しかし、“そもそもなぜその作業が発生しているのか”という根本をたどることで解決方法が見いだせる事例と考え、ご紹介しました。
 今後のシステム導入や業務の見直しにおいて、皆様の一助になれば幸いです。

次回は2014年1月20日(月)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 コンサルタント

大塚 奈美子

セールスエンジニアとして各業界へのシステム提案を経験した後、内部統制・システム企画・業務改革コンサルに従事。最近はシステム導入の上流工程に参画し、お客様とSEの架け橋役として活動。システム監査技術者、システムアナリスト。

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