ルールを逸脱した場合の運用を面倒にすることで、開発コストの削減+ルールの厳守にも寄与

前回に引き続き、弊社実践ソリューションフェアのセミナーにてご紹介しました、「ERPパッケージ導入時におけるカスタマイズを最小限にするフィッティング事例」から、「ルールを逸脱した場合の運用を面倒にすることで、ルールの厳守にも寄与」できた事例をご紹介します。

前回の続き…「社内売買の概念を廃止し、商品管理部門の人員も削減」

今回ご紹介するF社は、スーパー等への卸売を行っているお客様で、スーパーのセールに合わせた特価対応が、日常業務として発生していました。
このお客様の場合、特価対応は、事前に上長の承認を得て、単価マスタに期間単価を設定する運用でしたが、営業は忙しさを理由に事後申請となることが日常化していました。
事後申請だったからといって、特価を適用しなければ、当然得意先からの信用問題になりますので、事後申請になってしまった場合に、過去の売上伝票の売価を遡及計算する処理をカスタマイズ開発していました。

新システムの導入にあたり、導入コストを抑えるために、「極力、パッケージの機能でカスタマイズせずに運用する」との経営層からのご要望がありました。
そのご要望にお応えするために、フィッティングフェーズでは、パッケージ機能で対応できない事項に関して、代替となる運用案で実施した場合のリスクとシステム外で発生することが想定される費用(作業時間の人件費換算等)の検討を実施しました。

その中で「売価の遡及計算」に関しては、「この機能がないと残業が増えてしまう」と業務のメンバーからは、カスタマイズ必須の機能であることを強調されました。
事前申請をしなかった営業のために、後で苦労することになるのは業務のメンバーですので、もっともな話です。

ただ、この発言には少し違和感を抱きました。
「特価申請は、事前申請がルールなのに、そのルールを逸脱した場合の救済処理にお金をかけるのは、本末転倒ではないか」と感じたのです...

でも、「もしかしたら、事前に申請するルールの方が、無理な要求なのかもしれない」との可能性もあり、現状業務の調査を実施しました。
その結果、事前申請というルール自体に無理があるのではなく、「ルールを逸脱するのは一部の営業だけ」であることが判明しました。
余談ではありますが、その一部の営業は、販売成績のよい営業であり、周りが「あまり強く言えない」といった事情もあった様です。

今回は経営層のTOPダウンも期待できる状況でしたので、「事前申請の徹底」と「事後申請になった場合、営業が責任もって売上伝票を手修正する」ルールとして、売上単価の遡及計算機能の作成を辞めました。
その結果、カスタマイズ費用が削減されたのですが、それだけではなく、「ルールの逸脱」自体の大幅な減少にも繋がりました。
後で自分で伝票を修正するのが大変なので、きちんと事前申請をする様になったのです。

ルールを逸脱した場合の運用を面倒にすることで、コスト削減だけでなく、ルールの厳守にも繋がった事例です。

次回は8月26日(月)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 コンサルタント

野呂田 章宏

平成8年入社。アプリケーションSEとして10年間、業務システムの開発・運用に従事。その後、セールスサポート部門での、システム企画・提案を経て、現在のコンサルタント職に至る。業務改革とシステムの両軸から、お客様の経営課題解決と利益追求に貢献。

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