自社のことを一番知っているのは社長

パッケージシステム導入にあたり、カスタマイズ削減を目的としてコンサルタントが参画するケースが増えてきました。
現状の業務フローをベースにした現場担当者の要求をすべて受け入れてしまうと、目標予算を大きく超えてしまうことが多いことをユーザも我々も身に染みて認識しているからです。

カスタマイズを削減するために、コンサルタントはカスタマイズ基準を明確にしてユーザ責任者、担当者と合意します。

【1】標準化できそうなプロセスは、パッケージに合わせる。
【2】単なる慣行で行っているプロセスは、その業務をやめることを検討する。
【3】顧客からの要請は、費用対効果を検討する。
【4】自社の強みにつながる独自プロセスは、カスタマイズする。

【1】は、手書き台帳や手書き発注書の作成等があります。
これらはパッケージ機能を使って手書き作業を廃止します。
【2】は、仕入先からの請求書と納品書の突け合わせ等があります。
昔からやっているから、引継のときに教えられたからといった理由のプロセスはどこの企業にも多くあります。
例えば、仕入先からの請求書と納品書の突け合わせはパッケージの支払通知書を送付するプロセスに変更します。
【3】は、専用伝票やEDI等です。
年間10万円の取引しかない顧客のために、100万円のカスタマイズを行うかどうかの判断は明らかです。
【4】は、在庫を持たないために受注と発注を紐づける等があります。
在庫を持たないという強みのために、受注データから発注データを自動生成するカスタマイズは行うべきと考えます。
このようにカスタマイズ基準をもとに判断すると、現場担当者からの不満が起きずにカスタマイズ削減ができます。

ある企業の要件定義に参画したケースをご紹介します。
さきほどご紹介した【1】~【4】のカスタマイズ基準をもとに要件定義を進める中で、営業会議用資料のシステム化という要件が出ました。
この企業は商品が得意先に紐づいており、得意先ごとの商品在庫と売上のバランスを取ることで適正な収益を確保するという強みがありました。
営業会議用資料は、在庫年齢と売上実績が得意先ごとに一つの表になって、在庫回転率等を評価するものでした。
今までは、この数値データをExcelに入力して資料を作成していました。
パッケージでは、在庫年齢と売上実績が別々の表になっており、それぞれExcelに出力して貼り付ける作業が必要になります。
【4】の基準に従えば、カスタマイズするということになります。

ここで社長から意見が出ました。
「この資料がシステムから自動的に出てくるのは、どうかと思うな。うちの会社のよいところは、営業が在庫も含めた得意先との取引状況を把握して営業アクションを起こしていることだと考えている。この資料が自動的に出てくると営業が怠けてしまって、状況把握が弱くなるような気がするんだ。このくらいの手作業は残しておいてもいいんじゃないか。」
自社のことを一番知っている社長が打ち合わせに参加するのは、とても重要なことです。

次回は2月18日(月)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 コンサルタント

藤橋 勝義

昭和57年入社。アプリケーションSE、プロジェクトマネージャーの経験を活かして、業務改革、IT導入支援、内部統制、IFRS対応などのコンサルティング業務に従事。
公認IFRSスペシャリスト、上級内部統制管理士、プロジェクトマネージャー、アプリケーションエンジニア、データベーススペシャリスト

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