社内売買の概念を廃止し、商品管理部門の人員も削減

2月に東京で実施された弊社の実践ソリューションフェアセミナーにてご紹介しました、ERPパッケージ導入時における「カスタマイズを最小限にするフィッティング事例」から、「社内売買の概念を廃止」できた事例をご紹介します。

今回ご紹介するE社は、土木建設関連資材の卸売をされていますが、主力の商品に関しては、同じ規格の商品を複数の製造会社から仕入れています。

製造会社の原材料の調達価格には地域格差があり、同じ規格の商品であっても、地域ごとに仕入単価が異なるという特徴があります。

支店単位で地域の製造会社から仕入を行うと、仕入価格の高い地域では、競争力の低下に繋がるため、商品部での集中購買を行い、全社での評価上の仕切価格の統制をはかっていました。

この様な価格統制が必要な商品は、一部の主力商品だけなのですが、他の商品に関しても、商品部での集中購買とし、また、支店単位での損益を明確にする目的もあり、各支店と商品部との間で社内売買を行う運用としていました。

余談にはなりますが、地域ごとに仕入価格に差異がある場合、仕入価格が安い地域では、競合他社の販売価格も下がるため、この価格統制により競争力が低下することが懸念されますが、対象となる商品は、この事例のお客様の独占商品であるため、この様な運用が実現しています。

導入パッケージには、この社内売買の機能を有しておらず、カスタマイズには大きな費用が発生することから、フィッティングでは、この社内売買を廃止できないか検討しました。

この時ポイントとなったのは、「社内売買により何を実現したいのか?」です。
社内売買によって実現したかったのは、次の二つの事項です。

  • 主力商品の全社での価格統制
  • 支店別の損益の明確化

社内売買をカスタマイズで実装するのではなく、パッケージの機能で、この2つの目的を達成する方法を検討した結果、次の三つの運用を考えました。

一つ目は、多くの、価格統制が必要のない商品に関しては、支店か直接仕入先に発注する運用に変更しました。
今まで、商品部に発注していた作業が仕入先に変わるだけですので、支店での業務負荷は変わらず、結果として、商品部の人員削減にも繋がるという副次的な効果も生みました。

二つ目は、価格統制が必要な主力商品に関しては、現状通り商品部での集中購買を継続することとしました。
ただし、販売する支店には社内売買するのではなく、パッケージの機能で可能な、在庫移動という方法をとる運用に変更しました。

三つ目は、今までの社内仕入価格を、商品の粗利評価単価に設定することで、支店別の損益評価も継続して実現 可能としました。

「社内売買により何を実現したいのか?」に立ち返り、パッケージの標準機能で実現可能な方法に、業務の手順やルールを変更した一つの事例です。

次回は4月15日(月)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 コンサルタント

野呂田 章宏

平成8年入社。アプリケーションSEとして10年間、業務システムの開発・運用に従事。その後、セールスサポート部門での、システム企画・提案を経て、現在のコンサルタント職に至る。業務改革とシステムの両軸から、お客様の経営課題解決と利益追求に貢献。

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