「ただ便利なシステム」では、役員会の承認がおりない・・・

先日東京・大阪で実施されました当社実践ソリューションフェア、「悩めるシステム導入担当者様へ プロジェクト発足からベンダー選定までの道筋を解説」というテーマでセミナーを実施させていただきました。
お忙しい中、ご出席いただきました皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。
また、予想以上の反響を頂きまして、せっかくお申し込みを頂いたにもかかわらず、抽選から漏れてしまった皆様にお詫び申し上げます。

今回はセミナーの中でも触れました、「システムの投資効果」についてお話しさせていただきたいと思います。

まずは、ベンダー選定時に役員会での承認を得られなかった事例をご紹介します。

■概要
C社(製造・小売業:年商200億)では、次期システムを導入したい担当者が、1年近い時間をかけて、各部門へのヒアリングと課題(主にシステム機能)の洗出しを詳細に行い、数100ページに及ぶRFPを作成。各ベンダーより提案を受けた。
各ベンダーよりほぼ横並びの価格提示を受け、価格の妥当性に自信をもった担当者が役員会にシステムの入替を上申し、各ベンダーのプレゼンまで実施したが、「投資に見合った効果が見られない」との理由で承認がおりなかった。

■結果
・投資に見合う効果が提示できず、現行システムの継続利用との判断となった。
・業務改善のため、外部のリソースの活用を上申したが、現状の問題点の認識が経営層と共有できておらずペンディングに。

■失敗の主要因
・システム導入の目的や費用対効果を経営層に提示できなかった。
・現状の問題点に対する認識が共有できなかった。
→目指すべき方向が共有されていなかった。

C社の事例では、現場へのヒアリングから改善要望を洗出し、次期システムの要件として盛り込みました。
その結果「現場にとって便利なシステム」には違いないのですが、「ただ便利なだけのシステムに数億の投資は見合わない」というのが、経営層の判断です。
少し極端な例かもしれませんが、システムの導入に関する稟議が通らなかった経験は、皆様も少なからずあるのではないでしょうか?

「費用対効果の提示」・・・良く言われることですが、実際にはそう容易ではないですよね。
この手のお話は、「システム化により作業時間が〇〇時間削減できるので、人件費に換算すると・・」といった話になりがちです。
なぜかというと、多くの場合、「システム導入の目的や目標が明確になっていない」からです。目的・目標が定まっていない状況では、「費用」は提示できても「効果」は提示できないのです。

たとえば、「3年で売上を30%伸ばしたい」という中期計画があったとします。
ただ、一般的な基幹システムで直接売上を伸ばすことは不可能です(一部通販システム等は別ですが)その場合、基幹システムで実現すべきことの1例としては、「売上増=伝票処理量の増加、物流の増加になっても、現在の人数で対応可能な仕組」ということが考えられます。
この場合ですと、売上30%増で見込める利益増が〇〇円だから、人件費を維持するためのシステムとして〇〇円の投資は妥当か否かの観点で考えると、経営層はぐっと判断し易くなります。
逆に、もし、こういった目的・目標がなくただの入替であるならば、「今よりコストを抑えること」が一番の判断材料になってきます。

システムの導入を検討される際には、導入の目的・目標を明確にするところから、始められることをお勧めいたします。

次回は3月17日(月)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 コンサルタント

野呂田 章宏

平成8年入社。アプリケーションSEとして10年間、業務システムの開発・運用に従事。その後、セールスサポート部門での、システム企画・提案を経て、現在のコンサルタント職に至る。業務改革とシステムの両軸から、お客様の経営課題解決と利益追求に貢献。

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