第5回 施行日をまたぐ取引にかかる経過措置

いよいよ今年の4月1日から消費税率が8%に引き上げられるが、引き上げに向けての準備も進んでいることだろう。
今回は施行日前後の取引にかかる以下の経過措置につき、そのポイントを解説する。
(1)旅客運賃等の税率等に関する経過措置
(2)電気料金等の税率等に関する経過措置
(3)特定新聞の税率等に関する経過措置

【ポイント1】 ICカードへのチャージでは経過措置の適用なし
電車、航空機などの旅客運賃については、4月1日以降に乗車する場合であっても、今年の3月31日までに乗車券等を購入したものであれば、5%が適用されることになる。
従業員の通勤定期代も経過措置の対象となるため、今年の3月に6ヶ月定期券を購入すればその全額が5%となるが、4月以降の購入はその全額に8%が適用される。
最近ではスイカやパスモなどのICカードにより交通機関を利用することも多いと思われるが、3月までにチャージした場合であっても、チャージした時点では乗車券等を購入したことにはならないため、経過措置の適用がないことに注意しなければならない。
チャージした時点ではあくまでも「仮払金」として処理することになり、実際に利用した日に「旅費交通費」に振り替えることになるが、その利用日が4月1日以降であれば8%が適用されることになる(ICカードの利用の場合、首都圏の鉄道では、1円単位の料金となるようである)。
また、スイカやパスモなどは、交通機関の乗車代金のほか、電子マネーとして飲食費や物品などの購入にも利用できるため、必ずしも乗車代金に使用されるとは限らない。そもそも本経過措置の適用対象とならない費用に使用されることも十分考えられるため、この点からもチャージした時点では、本経過措置の対象とすることはできないと考えられる。

【ポイント2】 電気料金等につき按分計算が必要な場合の月数計算
電気、ガス、水道、電話、インターネット料金などの経過措置の対象となるもののうち、4月30日までに検針等により料金が確定するものについては、その対象期間に4月以降の分が含まれていたとしても、その料金の全額につき5%が適用される。

水道料金のように、検針が2ヶ月に1回行われるものもあるが、このような場合には3月31日以前から継続的に供給されているもので、5月1日以降に初めて検針等により料金が確定するものについては、月数按分により5%が適用される部分と8%が適用される部分に分けて処理しなければならない。

この場合の月数は暦に従って計算し、1ヶ月に満たない端数を生じたときは1ヶ月とされることから、算定期間が2ヶ月と1日となった場合であっても月数は3ヶ月となることに注意が必要である。

【ポイント3】 特定新聞等にかかる経過措置成立後の改正
当初の経過措置においては3月31日までに発売された週刊誌や月刊誌などを4月1日以降に販売した場合であっても、5%の税率が適用されることとされていた。
しかし、昨年の10月30日に本経過措置の改正が行われ、週刊誌や月刊誌などの定期的に発行される雑誌については経過措置の対象外となり、4月1日以降に販売したものはすべて8%の税率が適用されることとなった(定期的に発行される新聞については、経過措置の適用対象となり、発売日の税率が適用される)。

これは経過措置成立後、書店などの販売システムの問題から販売時において混乱が生ずるとして、出版業界から雑誌については経過措置の対象外とするよう要望が出されたことによる改正のようである。

他に改正の動きがあるかどうかは不明であるが、8%引き上げ時の状況を受けて、10%引き上げ時の際には、経過措置の新設や改正があることも考えられる。

次回は2月4日(火)更新予定です。

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この記事の著者

あいわ税理士法人 マネージャー税理士

佐々木 泰輔

1996年立正大学経済学部経済学科卒業。大学卒業後、個人会計事務所勤務を経て、2005年あいわ税理士法人入社。2006年税理士登録。法人・個人に関する税務コンサルティング業務のほか,税務専門誌への寄稿や各種セミナー講師に従事。
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