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第28回 600年前から伝わる『守破離』で人材育成?
前回の『型』と同様に、もう一つ、人材育成において重要な言葉があります。
『守破離(しゅはり)』
この言葉、ご存知ですか?
柔道や空手など日本の伝統的武道では、人材育成に関連してよく使われている言葉です。
実は、600年前から日本で伝わっている言葉です。能の世界で、観阿弥の弟子である世阿弥がまとめた書物「風姿花伝」(「花伝書」とも)の中で、この「守破離」という考え方が出てきます。先代からの教えを守り、次にそれ破り、離れていく。
【守】とは、師についてその流儀を習い、それを忠実に守りつつ修行し、そこから外れることなくしっかりと身につけること。
【破】とは、師に教えられた流儀を身につけた後、一歩進めて、自らの特性に合うように修行し、他流をも研究し、その良い点も取り入れていくこと。
【離】とは、「守」に捉われず、また「破」も意識せず、独自の新しいものを生み出して、新境地を拓いて一流を編み出すこと。
つまり、600年前より人材育成の第一歩は「守」だと言われているのです。守るべきものとしての流儀・型がそもそもなければ、人材が育てられるわけがないのです。
だから、この「守破離」の前に「型」が必要となります。つまり、「型守破離」なのです。
にも関わらず、人材育成を課題に挙げる会社にかぎって、この「型」がそもそもないのです。これでは、人材が育てられるわけがありません。
御社の営業に「型」はありますか?
是非、御社独自の営業の「型」として、何らかのシンプルなマニュアルを作成してください。
それでも、「マニュアルなんて無意味」「ウチの営業は特殊だから、型になんてできない」という声が聞こえてきそうです。
やらない理由や、出来ない理由ばかり口にする方がいます。2-6-2の法則で言う「6」の「現状維持モデル」の方々です。気づきもするし、意見も出す。しかし、口先だけで、行動が伴わないタイプだそうです。
「俺が若い時は、先輩や上司から何も教わらずに、自分で盗んでやってきたのに、今の若い者は、そこまでやらないとダメなんですかねぇ~。」なんていう嘆きも良くお聞きします。こういう発言を仰る方は、だいたい経営者・マネジャーです。そう、つまり、2-6-2の上の「2」である「自己成長モデル」と言われる方々なのです。自ら気づき、自ら進んで行動できる方々なのです。だから、成果が出るし、生産性も高く、結果、出世しているのです。
こういう方々には、残念ながら、「6」や下の「2」の方々のことは分からないのです。こういう方々が上に立って、「なんでお前はそれくらいのことができないんだ。自分でもわかるだろ。自分で考えて、とにかく結果を出せ!」というような指導しかできないのです。
☆セミナーも開催しております。「直接話を聞きたい」という方、お待ちしております。
次回は3月24日(月)更新予定です。