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第22回 もし、寿司屋の大将がソリューション営業をしたら
「ソリューション営業」に関して、前回の練習問題から続けてみましょう。
◆練習問題◆
あなたは、「ソリューション営業」を身に付けたカウンター席の寿司屋の大将だとします。
若い男性のお客様が暖簾をくぐり入ってきて、こう言いました。「大将、お腹が腹ペコなので、ガッツリ食べさせてもらえますか。
ただ、500円しかないのですが何とかなりますか。」と。
この時、あなたはならどう対処しますか?アイデアを考えてみてください。
もちろん、たったこれだけの条件で考えろ!と言われても条件不足かもしれません。
だから、「もう少し詳しく要望をお聞きする」というのも正解です。
特に、正解はありませんが、どんなアイデアが考えられますか。自由な発想で考えるとどうですか。
お客様のニーズをまとめると「三つ」になります。
1、お腹が空いているので、がっつり食べたい。
2、費用を500円以内に抑えたい。
3、お寿司が食べたい。
わざわざお寿司屋さんに来ているわけですから、3もニーズです。
いま、この三つのニーズの優先順位は分かりませんが、1、2を言葉にしているので優先されてそうですね。
さて、どうしますか?
◇回答例(イ):赤字にならない採算ぎりぎりで普通にお寿司を出す。
原価500円でお寿司を出すのは、赤字にはなりませんが、ビジネスとして儲けがありません。
WIN-WINではなく、LOSE-WINになります。
長期的な関係性が作れるなら、また、別のメリットが享受されるなら今回は赤字でもよいという「投資」発想もあるかもしれませんが、あまり普通にない選択肢ですね。
◇回答例(ロ):お客様の好きなネタを普通に500円分出す。
これでは、お腹一杯には全くならないことになる。
◇回答例(ハ):500円に見合う寿司以外のものを考えて出す。
この場合、500円という予算は合致しているものの、ネタによっては、お腹が一杯になるかは疑問が残る。
また、寿司屋に来ているニーズに応えているかについても疑問が残る。
◇回答例(ニ):近所のファストフード等の他のお店を紹介する。
自社の商品に縛られずにお客様の課題解決を考えるというソリューション思考はできている。
ただし、寿司屋にわざわざ来ていることに対して、ニーズが満たせていない。ある意味、結果として丁重に断っていることになっている。
次回は2月10日(月)更新予定です。
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