第54回 運転記録証明書の活用方法

運転記録証明書を取り寄せて、交通事故や交通違反の実態を「トラック乗務時」はもちろんのこと、「マイカー乗務時」の状況も併せて把握することで、個々の運転特性が見えてきます。

交通違反の多いドライバーは、日ごろから交通マナーが悪いことも想定できます。

交通違反が多いドライバーは、将来的に交通事故に関わる可能性が高いとも想定できます。

交通違反の内容において、速度超過の違反をしているドライバーが信号無視でも違反をしていることが多いのは、必要以上に速度を出しているために、信号で正しく停まれないことも理由のひとつ。

携帯電話使用等(交通の危険や保持)や、座席ベルト装着義務違反が何度も繰り返されているドライバーは、ルールを軽視する傾向にあり、ルールを守れば防げるはずのバック事故を繰り返す傾向があることを要注意。

このように「個々の運転行動と安全対策を読む」ことができる運転記録証明書。

しかしながら、運転記録証明書を1年に1回取り寄せている場合でも、取り寄せた時のみ指導を行っているケースが多いように感じます。

取り寄せは1年に1回だけも十分だと思いますが、できれば半年に1回のペースで運転記録証明書をもう一度見ながら振り返り、ドライバーに記載された項目について現時点での改善状況を個別に確認することで、運転記録証明書による安全への効果が倍になります。

同様に、運転記録証明書に事故や違反の履歴がなく「以下余白」と記載されたドライバーにも、安全行動について確認することをお勧めします。

たとえば「なぜ今まで無事故・無違反を継続できたのか?」とドライバーに聞いてみる。

「これからも無事故・無違反を継続するために取り組むべきことは何か?」を管理者が一緒に考えてみる。

そうすることで、運転記録証明書により事故や違反をしているドライバーのみが指導(改善)対象になるのではなく、無事故・無違反を継続しているドライバーにその理由(こだわり)を確認することで、更なる安全行動と結果の継続やドライバーへの評価(やる気)にもつながります。

また「安全の良い事例(こだわりのルール)」として自社内で広めることも、無事故・無違反を継続しているドライバーのやる気につながるうえ、全員が安全になれます。

最後に、運転記録証明書を健康診断結果と同じく、ご家族にも開示する運用方法も良い方法です。

ご家族がマイカー運転時の安全行動を促してくれたり、無事故・無違反を継続中の場合には安全行動への敬意が高まったり、ご家族からの仕事への理解度やサポートが増すことも期待できます。

ありがとうございました。

次回は8月21日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
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