第3回 物流コスト管理

物流改革の最も大きな目標の一つに、「無駄な物流コストの削減」がある。
物流コスト削減をするためには、物流コストを明確に把握する必要がある。これをやらないで、物流コスト削減を実行しても、どのくらい成果が出たのかがわからない。成果が明確にならなければ、物流部門の改善活動への評価ができない。

私は、「物流改革」は楽しいものだと思っている。「問題点を発見し、改善計画を実行して効果を出し、評価され、給料も上がる」。このサイクルの繰り返しが成功すれば、面白くない訳がないのである。

あまり良くない事例がある。
物流現場で改善をし、ピッキング効率が20%上がったとする。改善前と改善後の実績を比較し、1時間当たりのピッキング件数で比較するところまでは良い。

ただ、それが物流人件費減につながっているかを検証しなければならない。同じ物量で、10人の作業が9人になれば問題はない。仮に物流人数が変わっておらず、物流人件費も同等である場合は大きな問題である。

「改善効果が本当に出ていなかったのか」「他の物流業務の効率が悪化してはいないか」を検討する必要がある。また、「作業効率の向上を目的とした物流システム導入」の場合、「月間人件費削減額>月間情報システム費」で効果検証をする必要がある。

つまり、物流コスト管理は、毎月の物流コストの状況を把握し、改善を検討すべき物流科目を見つけることができるのである。

物流コスト管理を実施するためには、物流会計を作成しなければならない。図を見てもらいたい。

委託物流コストは毎月請求書が来るので捉えられるが、社内人件費は物流に関連する人件費を集計する必要がある。可能であれば固定人件費と変動人件費を分けて集計することが望ましい。仮に残業人件費だけを別に集計していれば、残業を少なくする視点で改善活動ができるからである。

物流会計作成の上では、二つの注意点がある。一つ目は、支払い物流コストの締め日と売上集計日の統一である。売上が1日~31日で集計しているにもかかわらず、支払いが20日締めのため21日~20日で集計した場合は、10日ずつ物流コストがずれるため、売上と物流コストの比較が難しくなる。この場合は、支払日を変更するか、売上集計日を変更するかのどちらかになる。

二つ目は、社員の人件費の算出方法である。管理会計ではボーナス月に人件費が増加する。しかし、物流会計では売上に対して物流人件費のバランスを検討するため、「残業費等の変動費を除く、年間人件費(給与+福利厚生+交通費等)を12分割をして毎月同一金額で計上をする。しかし、昇給時以降は毎月の人件費を増加させることにも注意してもらいたい。

次回は5月25日(金)の更新予定です。

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この記事の著者

有限会社SANTA物流コンサルティング 代表取締役社長 / 物流改革コンサルタント Dr.SANTA

平野 太三

昭和38年兵庫県芦屋市にて出生。昭和61年甲南大学法学部卒業。同年某システム会社入社後、物流システム担当営業として、100社を超える物流現場分析に携わる。平成15年に、有限会社SANTA物流コンサルティングを設立。「物流コンサルティング」「講演、研修」「執筆」を開始する。講演参加者数ものべ10,000人を超え、物流マンにわかりやすい具体的な改善手法の提言を行う。
主な執筆:「3カ月で効果が見え始める物流改善」(プロスパー企画)。
物流技術管理士、日本物流学会正会員、ロジスティクスアライアンス委員
有限会社SANTA物流コンサルティング

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