第5回 物流の問題点の可視化

物流改革を推進させるためには、問題のあぶり出しから始めなければならない。一般的に物流部門での改善活動は、日ごろから認識している問題で、かつ、他部門にかかわることが少ない問題から改善することが多い。しかし、この手順では、改善の優先順序が正しいのか私は疑問に思う。

物流部門では、改善活動は過去からずっと継続して実施しており、「改善の難易度が低く、効果が大きいテーマ」はまずないと言ってよい。しかし、会社全体から見ると、物流部門が検討しているテーマが必ずしも良いとは限らないのである。また、長く物流部門に配属している人からすると今の物流業務がすべて正しいと思い込み、何ら疑問をもたないこともある。

よって、私がお薦めする方法は、「改善を実行する・しないにかかわらず、物流の問題点を全部出し切る」ことから始める。下図をご覧いただきたい。

一つ目の視点は、「日ごろから常に感じている問題点」である。物流改革は以前述べた様に、「物流品質、物流サービスの向上」と「無駄な物流コストの削減」であるから、物流部門だけでなく、経営者や他部門が感じている問題も出す必要がある。

二つ目の視点は倉庫内のレイアウト図をずっとにらんでみて1日の業務を追いかけると、いくらでも問題が見えてくる。例えば、「何回も同じ場所を行き来することはないか」、「動線が長くないか」、「レイアウトがいびつになっていないか」、「コンピュータの場所は今のままで良いのか」、「在庫レイアウトは今の並び順、今のスペースで良いのか」等がある。

三つ目の視点は、範囲を絞り込んで見つけることができる問題である。会議上で「何か問題はありませんか?」と議長が問いかけをした時、20個ぐらいの問題点は結構早くポンポンと出てくる。ひと通り問題が出尽くしてしまうと、いくら考えても問題点が出てこなくなる。この時に、「繁忙期」「得意先」「物流業務」、と絞り込んで確認すればまた問題点がどんどん出てくるものである。

四つ目はデータの視点での問題点の把握である。その例として、「物流コスト」「残業費」「作業効率」「運賃」「保管費」等がある。データを月別、日別の推移で比較したり、対前年同月対比で比較してみる。「去年より残業費が多いのはなぜ?」、「今日、ピッキング効率が良いのはなぜ?」、「運賃が高い運送会社を使用しているのはなぜ?」、という様に疑問点を挙げることができれば、調査の過程で問題点が明確になるものである。

次回は6月1日(金)の更新予定です。

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この記事の著者

有限会社SANTA物流コンサルティング 代表取締役社長 / 物流改革コンサルタント Dr.SANTA

平野 太三

昭和38年兵庫県芦屋市にて出生。昭和61年甲南大学法学部卒業。同年某システム会社入社後、物流システム担当営業として、100社を超える物流現場分析に携わる。平成15年に、有限会社SANTA物流コンサルティングを設立。「物流コンサルティング」「講演、研修」「執筆」を開始する。講演参加者数ものべ10,000人を超え、物流マンにわかりやすい具体的な改善手法の提言を行う。
主な執筆:「3カ月で効果が見え始める物流改善」(プロスパー企画)。
物流技術管理士、日本物流学会正会員、ロジスティクスアライアンス委員
有限会社SANTA物流コンサルティング

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