第11回 物流改革のコンセプト

第1章 「物流改革の進め方」

物流改革といえば「物流コストの削減」にばかり目が行きがちであるが、本当はそれだけではない。
「物流サービスの向上」「物流品質の向上」「物流コストを考慮した収益の把握」「物流戦略の立案」を加えた五つの切り口での検討が必要だ。

第一の切り口は、「物流コストの削減」である。
人件費・輸送費・保管費等の無駄な部分を見直す必要がある。

やはり、一番に目につくのは人件費だろうか。
しかしながら、物流人員を過剰に削除しすぎている会社も少なくない。
毎日の人数がぎりぎりの運用になっており、予定以上の受注があるとすぐ出荷トラブルを起こしてしまう。
「仮に社員が1人退社すれば、ここの物流センターが止まるのではないか」と思ってしまう。
多すぎるのも問題であるが、少なすぎるのも問題である。
少しの余剰人員をもった上で、「改善活動」や「緊急性のない仕事」で余剰分を吸収すればよい。
人件費にしろ、輸送費にしろ本当に無駄な部分を見極める必要がある。
具体的な改善プロセスは、第2章以降でお話したい。

二番目は「物流サービスの向上」である。
ここでいう物流サービスとは、特定のお客様が要求する物流サービスではなく、市場が要求する物流サービスととらえていただきたい。
「過剰サービス」を継続していくと物流コストアップにつながり、その増加コストをお客様に転嫁せざるをえなくなる。
例えば、「当日出荷の受注締め時間を超えた当日出荷指示」がそれにあたる。
13:00受注締めであったものが、16:30に受注があり当日出荷をすることになれば、残業費や運賃増加につながる。
これが1年に1回あるかどうかであれば容認できるが、毎日の様に発生しているのであれば、これは物流サービスとは言えない。
電車には特急料金があるが、商取引の中では、お客様に追加特急料金を頂くことは難しい。
この様に色々な視点で、市場が要求する物流サービスを検討してほしい。

三番目は「物流品質の向上」である。
誤出荷の防止、商品破損の防止、欠品の防止がそれにあたる。
しかし、これも「物流コストの削減」とのバランスが非常に難しい。(トレードオフの関係にある)。
究極は、ミスゼロであろうが、これがなかなか難しい。
一般的な物流であれば、目標設定をしてそれを目指して取り組んでほしい。

四番目は「物流コストを考慮した収益の把握」である。
「得意先別に物流コストを把握して、納品価格が正しいかを検証する」、「商品別に物流コストを把握して、納品価格が正しいかを検証する」。
販売価格の設定が間違っていれば、売れば売るほど損をすることになる。
詳細は物流コストモデルの執筆時に解説したい。

五番目の「物流戦略立案」は、次回に解説することにする。

次回は7月20日(金)の更新予定です。

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この記事の著者

有限会社SANTA物流コンサルティング 代表取締役社長 / 物流改革コンサルタント Dr.SANTA

平野 太三

昭和38年兵庫県芦屋市にて出生。昭和61年甲南大学法学部卒業。同年某システム会社入社後、物流システム担当営業として、100社を超える物流現場分析に携わる。平成15年に、有限会社SANTA物流コンサルティングを設立。「物流コンサルティング」「講演、研修」「執筆」を開始する。講演参加者数ものべ10,000人を超え、物流マンに分かりやすい具体的な改善手法の提言を行う。
主な執筆:「3カ月で効果が見え始める物流改善」(プロスパー企画)。
物流技術管理士、日本物流学会正会員、ロジスティクスアライアンス委員
有限会社SANTA物流コンサルティング

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