第12回 物流改革のコンセプト(前回の続き)

5番目は、「物流戦略の立案」である。
物流は、経営戦略の軌道修正により大きく変わる。
商品アイテム数が増加すれば、在庫スペースが増加する。
主要取引先が問屋中心であったものが、大型量販店との取引が中心になってくれば、発注単位が縮小し物流人員や作業エリアの確保を考える必要も出てくる。

また、流通加工業務(値札付け、セット組み、袋詰め等)も増加する。物流センターのスペース(保管スペースや作業スペース)の確保ができなかったり、物流メンバーの補強が難しければ物流センターが機能しなくなる。
どうしても物流の対応は、後手後手になる傾向がある。それでよいのであろうか?

経営戦略は3~5年先の計画をたてていると思うが、物流戦略をたてていない企業は多いのが実情ではないだろうか?
物流改革を実行している企業も数少ない状況であるが、その数少ない企業も現在の物流を前提にした改善活動を行っているに過ぎないのが現状である。

これでは、前述した様な物流の大きな変化には対応ができなくなる。
その結果、知らないうちに外部倉庫が次々と増加し、無駄な物流コスト(保管費、輸送費、人件費)が発生する。
以上のことから、物流も経営戦略を考慮した戦略を立案する必要がある。

まずは、現在の物流センターの入荷・出荷・保管のキャパシティを算出することが最低限必要となる。
具体的には、年間売上高10%増、20%増という様にパターン別に、売上金額が増加すると倉庫坪数が何坪必要か、物流人数が何人必要かを算出できる。これにより、現在の物流センターが年間売上高何億まで対応できるかが判明する。

次に、将来的な経営戦略に基づく年間売上高の推移を考慮して、物流の拠点戦略を立案する。
例えば、「大型センターに移動するのか」、「関東・関西の2拠点制にするのか」、「アウトソーシングをするのか」。それぞれのプランを立案した上で、メリット・デメリットを整理し、物流コストもそれぞれ試算をする。
お客様に対する物流サービスが、そのプランによりどうなるのかをおさえることも肝心だ。

本来であればこの物流戦略なくして、経営戦略はありえないのである。
経営戦略と物流戦略を立案した後、全社で刷り合わせをし、中期経営計画を立案する。
この計画の進捗(しんちょく)状況により、毎年軌道修正をかける。これが理想である。

今回で物流改革の総論は終わりとする。次回からは「在庫改革」の解説にはいる。
発注担当者以外の方も是非継続して購読してほしい。
何故(なぜ)ならば、在庫改革は物流の随所に関連し、物流コストにも大きく影響するからである。

次回は7月27日(金)の更新予定です。

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この記事の著者

有限会社SANTA物流コンサルティング 代表取締役社長 / 物流改革コンサルタント Dr.SANTA

平野 太三

昭和38年兵庫県芦屋市にて出生。昭和61年甲南大学法学部卒業。同年某システム会社入社後、物流システム担当営業として、100社を超える物流現場分析に携わる。平成15年に、有限会社SANTA物流コンサルティングを設立。「物流コンサルティング」「講演、研修」「執筆」を開始する。講演参加者数ものべ10,000人を超え、物流マンにわかりやすい具体的な改善手法の提言を行う。
主な執筆:「3カ月で効果が見え始める物流改善」(プロスパー企画)。
物流技術管理士、日本物流学会正会員、ロジスティクスアライアンス委員
有限会社SANTA物流コンサルティング

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