ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第45回 物流作業効率の向上
物流作業効率を向上させるためには、物流作業を分解してその作業単位で改善を検討する方法が望ましい。
今回はピッキングを例に挙げて物流作業効率向上の手順を解説したい。
まず、ピッキング作業を作業単位で分解すると、「1.ピッキング順序の選定」「2.歩く」「3.探す」「4.取る」「5.品名をチェックする」「6.出荷エリアに移動する」に分けることができる。作業単位に分けるメリットは、範囲をせばめることにより、具体的に検討できることにある。
歩く時間を短縮させるためには、【1】歩くスピードを上げる、【2】歩く距離を短縮する、【3】待つ時間を短縮する、が考えられる。
これら三つに対する改善策は大きく違う。
「【1】歩くスピードを上げる」を実現させるためには、ピッカーの意欲を向上させる方法を考える必要がある。
一般的には、評価制度をうまく活用(No.39で解説済み)することで、「作業を早くしたい」という意欲が芽生え、その結果としてスピードアップにつながるのである。
「【2】歩く距離を短縮する」「【3】待つ時間を短縮する」には、倉庫レイアウトが非常に重要になる。よく出荷される品物は、出荷場の近くに配置することで、かなりの短縮が図れる。
また、通路が狭いとすれ違い、追い越しができないため待つ時間が増える。通路に行き止まりがあれば、戻る時間がかかる。
このテーマは次回詳細に解説する。
探す時間を短縮させるためには、商品の在る場所の表示方法が重要になる。表示板が小さい(見づらい)・場所が暗いという環境であれば、その商品を探し当てる時間が長くなる傾向にある。
取る時間を短縮させるためには、商品の置き場所が重要になる。高いところに品物を置けば、踏み台を取りに行かなければ取れない。
ダンボールの開梱状態が悪ければ、取り出すのに時間がかかる。この様な考え方で、すべての作業単位に改善策を検討すればよい。
また、物流作業にもイレギュラーが発生する。これを排除できれば、作業効率は向上するのである。「ピッキングに行ったが商品がない」「商品がどこにあるのかわからない」「同じ棚の中で商品が混ざっており選別に時間がかかる」等がその例である。
以上の様に、作業単位を小さくすればするほど、具体的な改善策が出やすくなる。改善時間は、わずか数秒のものもあるかもしれないが、1年間で集計してみると1000時間を超える企業も存在する。
是非この手順を参考にして取り組んでほしい。
次回は3月29日(金)更新予定です。
前の記事を読む
次の記事を読む