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第32回 ミスの原因
ミスの根本的な原因を追及していくと、「企業全体で取り組まないと解決できない問題」と「個別で対応すれば解決できる問題」に分かれる。
これをさらに分類すると「人(個人)の問題」「仕組みの問題」「環境の問題」がある。
今回はこの視点での問題点の検討と対策を解説したい。
一つ目は「人の問題」である。
物流クレームを削減するためには、物流ルールの見直しが必要になる。
しかし、企業で物流ルールを作っても、残念ながら守らない人が必ず出てくる。
守られない理由が、悪意でなく誰もが間違いやすいルールであれば、企業として見直しを取り組まない限りは改善が進まない。
「物流ルールがわかりにくい」「伝達方法が不充分」「定着化確認の巡回が不充分」がその例である。
しかし、「こんなことをするはずがない」という行為であれば、個別に説明をする必要がある。
「商品確認をしない」「やり方がわからないのに、確認もせず自分の判断で勝手に行動する」等のルール無視がそれにあたる。
この個人の問題は、個別に「わかりやすく、具体的に説明・指示」をしなければならない。報償制度(早く、ミスをしない人を表彰する)を取り入れると意識付けができる場合もある。
二つ目は「仕組みの問題」である。詳細は「商品違いの改善」「数量違いの改善」で説明するが、横に似たものが置いてあれば誰もが商品間違いをしやすくなるし、薄い商品や小さい商品であれば、誰もが数え間違いやすい。
それを間違った個人に対して指導をする運用では、全体改善がされない。
他のメンバーが、同じことを繰り返すことになる。
よって、抜本的な運用ルールの見直しが必要になる。「在庫配置の工夫」「注意喚起の貼り札」が、その改善例にあたる。
三つ目は「環境の問題」である。
物流環境は冷凍・冷蔵商品等の様に商品特性上、やむをえないものもあるが、「暗い」「臭い」「湿度が高い」等、労働環境が悪い物流センターも少なくはない。
この様な環境であれば、長時間作業すると、集中力を欠く可能性が高いと思われる。
その結果、ミスが発生する。
企業としては、「物流環境に、今以上のコストはかけられない」ということもあるだろう。
しかし、劣悪な労働環境であれば、人が定着しない、求人が集まらないということも考慮して考えてほしい。
なぜなら、よい人材を育てる、集めることができれば、それだけでも物流ミスは減少する可能性が高いからである。
次回は12月14日(金)更新予定です。
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