第4回 物流コストの検証

物流コストを把握した次に、その物流コストが正しい数字であるかを検証する必要がある。つまり、「現在の在庫量、入荷量、出荷量で考えた時、物流コスト(保管費・物流人件費・輸送費等)が果たして適正であるか」を議論する必要がある。

例えば、出荷量が少ない日に人を多く配置すれば人件費が増加するし、在庫量が多すぎれば保管費が増加してしまう。それを検証する一つの方法として、物流会計前年同月対比がある。

物流部門は無駄な物流コストを削減しなければならないが、多くの企業は物流コストの増減で物流部門を評価している。しかし大きな問題点として、「物流コストは売上金額に正比例していない」ことが挙げられる。

例えば、売上金額は前年とほぼ同じであるが、出荷ケース数は前年より10%程度増加した場合、物流管理手法を知らない役員は、「営業部門が必死になってやっと売上維持を達成しているのに、物流部門は物流コストを増加させているとは何事だ! 反省しろ!」と怒鳴ってしまう。

しかしながら、物流ケース数が増加した場合、間違い無く物流コストは増加する。例えば、売上が減少しても出荷ケース数が増加すれば、運賃は間違い無く増加する。同様にピッキング回数(伝票行数)が増えれば物流作業時間が増加し、物流人件費も増える。また、返品が増えれば、人件費も増加する。ご理解頂けたであろうか。

そこで、物流部門を正当に評価する方法として、「1ケース当たりの平均運賃」「1ケース当たりの物流人件費」を導入すれば良い。これを前年同月対比で比較してみる。(下図参照)

出荷ケース数が5%増加しているが、「1ケース当たりの平均運賃単価は2.4%減、9.8円削減」し、「1ケース当たりの平均物流人件費は5.4%、25.4円」を削減している。この削減単価に出荷ケース数を掛けたものが物流コスト削減金額と言える。

売上金額や出荷ケース数が毎月変動している場合は、この様な改善効果を検証する方法を採らないと、物流部門が頑張って物流コストを削減しても評価されない。

その結果、モチベーションが落ちてしまう。営業部門で売上予算がある様に、物流部門でも物流改善予算を設定して、公正な評価をする様に是非取り組んでいただきたい。

次回は5月25日(金)の更新予定です。

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この記事の著者

有限会社SANTA物流コンサルティング 代表取締役社長 / 物流改革コンサルタント Dr.SANTA

平野 太三

昭和38年兵庫県芦屋市にて出生。昭和61年甲南大学法学部卒業。同年某システム会社入社後、物流システム担当営業として、100社を超える物流現場分析に携わる。平成15年に、有限会社SANTA物流コンサルティングを設立。「物流コンサルティング」「講演、研修」「執筆」を開始する。講演参加者数ものべ10,000人を超え、物流マンにわかりやすい具体的な改善手法の提言を行う。
主な執筆:「3カ月で効果が見え始める物流改善」(プロスパー企画)。
物流技術管理士、日本物流学会正会員、ロジスティクスアライアンス委員
有限会社SANTA物流コンサルティング

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