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第50回 配送運賃の簡易分析
前回、制約条件により運賃は変わることを解説したが、現在利用の運送業者の選定が適正であるか把握する必要がある。
本来であれば運送業者の請求書を見て、納品先を1件ずつ確認する必要があるが、それでは時間がかかりすぎる。
今回は、大まかに問題点を見える化し、改善する手順を解説したい。
運送業者の請求書には、「日付」「送り状No」「届け先市区町村名」「個数」「才数」「重量」「運賃」等の項目が記載されている。
この請求書の合計部分に、「月間出荷件数(=送り状枚数)」「月間出荷個数」「月間運賃」がある。
この合計部分を、毎月上記EXCEL表に入力する。合計データを入力するだけであれば、全運送業者の入力をしてもわずかな時間で終了する。
(運送業者によっては、月間出荷件数と月間出荷個数が、ページ計にしか記載されていないところもあるので、集計に若干時間がかかることもある)
このEXCELには計算式が設定されており、入力すると「1件当たりの運賃」「1件当たりのケース数」「1個当たりの運賃」が自動計算される。この表で配送管理責任者は、異常値がないかを確認することになる。
例えば、1件当たりの個数を見て、運送業者の条件と合致しているかどうかをチェックする。
運送業者の選定条件が「1回当たり2個以下」であった場合は、個数の平均が2.1個であれば、3個以上のケースも多いと推測される。
この仮説がたてられれば、その運送業者に委託している「1回当たり3個以上」の得意先をピックアップすればよい。
運送業者の請求書で該当する得意先を精査し、原因を推定するところから始まる。
荷造りが遅れたために、安い運送業者(通常設定している業者)の集荷時間に間に合わなかったのであれば、早く荷造りを完了する方法を考えればよいのである。
解決する方法としては、「出荷作業のスピードアップ」「当日出荷分の受注締め時間の順守」等色々な検討ができる。
お客様の指定便ということであれば、指定便の理由を確認し、契約の見直しをするのである。
また、1個当たりの平均運賃が高くなっているのであれば、平均委託個数の減少はないか、他の近辺地域の配送運賃の増減はないか、を確認することになる。これも明細単位で検討し、運送業者選定ルールの間違いがないか、委託個数の減少の原因を掘り下げて検討するのである。
この手順であれば、問題がありそうなポイントだけをチェックすれば問題が解決できるので、運賃管理を短時間で済ますことができる。
ただ、全件チェックは半年に1度は行う必要があるので注意してほしい。
次回は5月10日(金)更新予定です。
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