第51回 返品運賃の削減

返品運賃は、コスト削減という意味では小さいものかも知れない。
しかし、お客様サービスの観点で考えれば最も重要な事項であるため、取り組む改善の優先順位としては高い。
返品運賃の削減を進める上で、まず返品の原因分析を行う必要がある。
返品の原因としては、「社内起因のもの」「協力会社起因のもの」「お客様起因のもの」が考えられる。
今回はこの発生箇所別の対策を解説したい。

一つ目は「社内起因のもの」である。
この中でもいくつかに分類される。
「社内ミスによる誤出荷返品」「商品の品質不良による返品」「催事による返品」がある。社内ミスの中でも、受注ミス、ピッキングミス、社内伝達ミス等が考えられる。
受注ミスについては、お客様からの受注方法別(オンライン受注、メール受注、電話受注、FAX受注等)に対策をたてなければならない。
商品が欠品した時の納期遅れの対応方法、受注時の出荷単位ルールの見直し、受注時の復唱方法などの検討が必要である。
商品の品質不良に関しては、品質劣化の発生時期を推定(原稿No29参照)し、対策を考えなければならない。
入荷時、既に商品劣化しているのであれば、仕入先(または自社工場)や仕入先からの輸送時の対策をたてなければならない。
物流センター入荷後に商品劣化をしているのであれば、荷扱い方法、保管方法(商品の積み方)、先入れ先出しルール等を検討しなければならない。
催事返品も見直しを行うことで、返品量を低減することができる。
催事は売上重視の考え方が強いため、売り逃しを非常に嫌う傾向が強い。
よって、出来るだけ多くの商品を持って行き、大量の返品が発生しても構わない考え方になる。
この場合は、返品量増加による物流コスト増を明確にすれば対策がたてやすくなる。
返品された商品の出荷人件費(ピッキング、値札付け)、返品分の物量に該当する配送運賃(往路)、返品分の返品運賃(復路)、返品作業人件費(検品、再生、棚入れ)等がそれにあたる。
この考え方をつきつめていけば、催事のやり方の見直しができるかもしれない。

二つ目は「協力会社起因のもの」である。
運送会社の納品ミス、前述した仕入先の商品不良等がそれにあたる。協力会社が原因とわかった場合は、おそらく皆様の会社でも強く改善の依頼をしていることだと思う。
しかし、同じことを何度も繰り返されていることはないだろうか?
改善の効果がみられない場合は、具体的なミス改善の手段を求め、その進捗状況の報告をもらう必要がある。
それを何度も繰り返して依頼をし、それでも改善が進まなければ取引を停止することも考えた方がよいかもしれない。
仕入単価が安くても、お客様への信頼の損失、トラブル対応時間のロス、返品コスト等を考えれば逆に損をしているかもしれないからである。

三つ目は「お客様起因のもの」である。
具体例としては「業界の商習慣」がある。
シーズン変わり時や新製品入れ替え時に、不要な商品を返品する習慣である。一般的に小売業では多い。
お客様からの商習慣返品であれば、改善する余地がない様に思われるかもしれないが、検討する余地は充分ある。
過去何年も取引を行っている企業であれば、過去の返品データは把握している。「返品量」「返品時検品人件費」「再生人件費・再生部資材費」「返品分保管費」「返品運賃」等がわかっていれば、そのデータをもとにバイヤーに交渉できる。
大多数のバイヤーは聞く耳をもたないかもしれないが、ねばり強く交渉を繰り返すうちに他社競合との物流コストの差別化ができる。

これらの方法を検討した上で、上図の返品管理表を作成する。
返品状況を見える化し、月別に集計していけば、改善の進捗がチェックできる。

次回は5月17日(金)更新予定です。

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この記事の著者

有限会社SANTA物流コンサルティング 代表取締役社長 / 物流改革コンサルタント Dr.SANTA

平野 太三

昭和38年兵庫県芦屋市にて出生。昭和61年甲南大学法学部卒業。同年某システム会社入社後、物流システム担当営業として、100社を超える物流現場分析に携わる。平成15年に、有限会社SANTA物流コンサルティングを設立。「物流コンサルティング」「講演、研修」「執筆」を開始する。講演参加者数ものべ10,000人を超え、物流マンにわかりやすい具体的な改善手法の提言を行う。
主な執筆:「3カ月で効果が見え始める物流改善」(プロスパー企画)。
物流技術管理士、日本物流学会正会員、ロジスティクスアライアンス委員
有限会社SANTA物流コンサルティング

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