第18回 需要予測は可能か?

在庫金額の適正化を実現するためには、「需要予測」の検討は避けては通れない。
企業の発注担当者の皆様がおそらく一番知りたい内容だと思う。
私はこのテーマを過去20年間検討してきたが、「正確な需要予測はできない。需要予測に時間をかけるのは無駄」という結論に至った。「それだと意味がないではないか!」としかられるかもしれない。

しかし、私自身が何1000時間も費やして、何百人の優秀な発注担当者と議論し、とことん追求した結果である。
学術的に研究するのであれば構わないが、皆様には時間の浪費をしてほしくない。
本質を見極めた上で、時間を有効に使っていただきたい。

さて、私が考える需要予測ができない理由を下記の図に示す。

適正在庫を実現するためには、「市場の需要数」と「自社シェア」の予測が重要になる。
まずは「市場の需要数」であるが、取扱商品によっても大きくかわる。

例えば、「流行(りゅうこう)商品」と「日用雑貨等の一般消費財」で考えてみよう。
流行商品はテレビ放映も含むメディアの取り上げによって大きく変わる。
流行(はや)っていない商品が流行るようになるかを、予測することは非常に難しい。

おそらく確率論で検討すれば、すべての商品が流行らないという前提で計算した方が、全体の誤差は小さくなるのではないかと思う。
また、流行っている商品が、いつまで続くかの判断も難しい。
他社から新商品が出たため、売り上げが激減することも少なくない。
これも新競合商品の需要予測をしなければ結論がでないため、難易度が高い。
いかに早く見切ることができるかがポイントになる。

次に「一般消費財」。流行商品に比べると安定度は高いが、安定している商品ほど競合が多い。
また、年間の消費量は予測できたとしても、各家庭や企業(製造業、卸売業、小売業)の現時点での、全メーカー分の在庫量は把握できない。

ここで議論する需要予測数は、お客様からの受注数であるため、在庫量がわからない状況では予測不可能となる。
これに「自社シェア」の予測もしないといけない。「新規企業の参入」、「競合企業の新製品の開発」、という条件も加わる。
これを把握しようとすれば、産業スパイを全世界に投入しない限りはおそらく予測できない。
この様に不確定要素が多い中では予測は難しい。
ここに時間をかけるべきであろうか?私はその時間をほかの重要なことにまわして頂ければと思う。

ただし、在庫の適正化は実現しないと勘違いしてほしくない。
今までお話をしている様に、発注のやり方を全社で変えれば「在庫が削減でき、欠品の抑制も実現できる」ということは理解してほしい。

次回は9月7日更新予定です。

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この記事の著者

有限会社SANTA物流コンサルティング 代表取締役社長 / 物流改革コンサルタント Dr.SANTA

平野 太三

昭和38年兵庫県芦屋市にて出生。昭和61年甲南大学法学部卒業。同年某システム会社入社後、物流システム担当営業として、100社を超える物流現場分析に携わる。平成15年に、有限会社SANTA物流コンサルティングを設立。「物流コンサルティング」「講演、研修」「執筆」を開始する。講演参加者数ものべ10,000人を超え、物流マンにわかりやすい具体的な改善手法の提言を行う。
主な執筆:「3カ月で効果が見え始める物流改善」(プロスパー企画)。
物流技術管理士、日本物流学会正会員、ロジスティクスアライアンス委員
有限会社SANTA物流コンサルティング

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