第17回 在庫改革の効果

これまで在庫改革による改善効果をいろいろと述べてきたが、少し整理をしておきたい。
直接的な効果としては、まず「保管費の削減」が考えられる。

在庫量が減少すると、倉庫スペースが少なくなる。倉庫契約が物量変動制(在庫容積契約=才数契約等、または使用坪数契約)の場合は、保管費が削減できる。
倉庫1棟借りの場合は、倉庫スペースが減少しても賃借料金は変わらないが、別の活用方法(受注センターを物流センターへ移設する等)が考えられる。
私の過去事例から、在庫金額を半減したケースもある。
半減できれば、在庫スペースを30~40%削減できる可能性が高い。
実現できれば、保管費も削減できる。

また、物流センターに在庫が入りきらず、外部に別倉庫を借りている場合、在庫量を削減できなくても保管費を下げられることもある。
別倉庫の賃借料坪単価が4000円の時、地方の交通の便が悪い倉庫に移転すれば坪単価が2000円になることもある。
仮にそれが100坪だとすると、月間20万円の削減になる。
ただ、別倉庫と物流センターの移動が頻繁に発生する場合は「入出荷人件費、輸送費」が増加するため、それらを考慮して収益予測をする必要がある。
別倉庫には、デッドストックや超過剰在庫(例えば1年を超えた分の在庫)しか置かないのであれば、移動がほとんどないため削減効果の方が大きいと予測される。(第2章、第2項参照)

ほかには、「銀行からの借入金額の削減」「在庫廃棄による資産損失」「原価割れ販売による利益の損失」が考えられる。

次に物流人件費と輸送費に関して解説する。
企業は出来るだけ別倉庫を持ちたくないから、物流センターに在庫を多く詰め込む。
そのため、「通路や仮置き場が確保できないことによる作業時間の増加」「先入れ先出し対応の在庫入れ替え時間の増加」「検品待ちエリアの整理時間の増加」「入荷時の倉庫整理時間の増加」等が発生する。

また、出荷時間がかかるため残業費の増加にもつながる。
逆に、出荷時間を早くすることができれば、運送会社への荷渡し時間に余裕ができる。
最適な運送会社での出荷が可能になれば、運賃が削減できることもある。この様に在庫改革を作業効率の視点で検討できれば、作業時間の10%以上の削減ができる可能性が高い。
複数センターで運用(例えば、東京と大阪の2拠点)を行っている企業では倉庫間移動が発生しているであろうが、拠点別の商品別在庫量を見直すことにより移動物量も減少でき、移動運賃も削減できる。

数字では表現しにくい改善もある。在庫精度が向上(実在庫とコンピュータ在庫の差異がない)できれば、「受注時のお客様対応のスピードアップ」「現物在庫の確認時間の短縮」が実現できる。
欠品が少なくなることでお客様の信頼関係が強化され、主要な取引先でなくても何かあった時にお問い合わせを頂けることも重要なポイントである。この様に在庫改革は、数多くの効果が予想できる。

次回は8月31日更新予定です。

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この記事の著者

有限会社SANTA物流コンサルティング 代表取締役社長 / 物流改革コンサルタント Dr.SANTA

平野 太三

昭和38年兵庫県芦屋市にて出生。昭和61年甲南大学法学部卒業。同年某システム会社入社後、物流システム担当営業として、100社を超える物流現場分析に携わる。平成15年に、有限会社SANTA物流コンサルティングを設立。「物流コンサルティング」「講演、研修」「執筆」を開始する。講演参加者数ものべ10,000人を超え、物流マンにわかりやすい具体的な改善手法の提言を行う。
主な執筆:「3カ月で効果が見え始める物流改善」(プロスパー企画)。
物流技術管理士、日本物流学会正会員、ロジスティクスアライアンス委員
有限会社SANTA物流コンサルティング

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