第26回 在庫改革の目標設定

在庫改革を実行する前に、「在庫状況の見える化」と「目標設定」をする必要がある。
一般的には在庫改革には反対勢力が多い。
その理由としては、「過去色々な工夫をしてきたという自負」「現状を変えたくないという強い思い」が邪魔をするのである。
しかし、いまのやり方の延長線上では、在庫改革による大きな効果はあまり期待できない。
現状を変えたくない多くの社員(営業、発注、商品企画等)に、その改善効果も見えるようにしなければ不満が高まり、結局は元に戻ってしまうことになる。

目標設定は「在庫層別化」(第22回 在庫層別化 参照)をした上で改善計画をたてることをお薦めする。
「在庫金額を削減しましょう」では今までと何ら変わらなく、本当に改善が進むのか疑わしい。
しかし、層別化し、層ごとに検討をすると、効果の確証を得ることができる。

在庫層別化の例としては、「デッドストック」「過剰在庫1年以上」がある。
デッドストックは今後売れる可能性が極めて低い商品であるから、会社としてお客様に売り込みをかけるか、処分をするか二つに一つしかない。

在庫プロジェクトでは1アイテムずつ在庫金額が高い商品から対処方法を検討し、1~2カ月後にその結果を検証する。
過剰在庫も同様に過剰分在庫金額の高い商品から対処方法を検討する。
在庫改革の初歩段階では、改善の難易度が低いためドンドン進む。
例えば、1年分の在庫を半年にするのは、比較的簡単である。
その対策は、営業を強化するか、仕入れ量を減らすか、取り扱いをやめるか、処分するかを決断するだけである。
これを繰り返すうちに改善の難易度が次第に高くなっていき、会社全体で知恵を絞りながら試行錯誤を繰り返すことになる。
この段階になれば、他社競合に負けない在庫状況になっている。

また、目標設定には「品薄在庫アイテム数改善目標」「保管費削減目標」「在庫改革物流コスト削減目標(外部倉庫入出荷料&輸送費)」「廃棄金額目標」も忘れてはいけない。
在庫改革では「物流費の削減」もテーマの一つであるため、その効果検証が必要である。
在庫改革で大きな効果が出ると、現状を変えることによる不満をやわらげることができる。また、
在庫プロジェクトへの評価も高くなるため、全社で取り組もうとする意気込みが出てくる。

次回は11月2日(金)更新予定です。

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この記事の著者

有限会社SANTA物流コンサルティング 代表取締役社長 / 物流改革コンサルタント Dr.SANTA

平野 太三

昭和38年兵庫県芦屋市にて出生。昭和61年甲南大学法学部卒業。同年某システム会社入社後、物流システム担当営業として、100社を超える物流現場分析に携わる。平成15年に、有限会社SANTA物流コンサルティングを設立。「物流コンサルティング」「講演、研修」「執筆」を開始する。講演参加者数ものべ10,000人を超え、物流マンに分かりやすい具体的な改善手法の提言を行う。
主な執筆:「3カ月で効果が見え始める物流改善」(プロスパー企画)。
物流技術管理士、日本物流学会正会員、ロジスティクスアライアンス委員
有限会社SANTA物流コンサルティング

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