第52回 貸切便運賃の削減

主な配送手段として、個建て便・路線便・貸切便がある。
今回は貸切便の運賃削減の手順を解説する。貸切便(チャーター便ともいう)にも、スポット契約と定期契約がある。
スポット契約は、通常個建て便や路線便を配送に使っているが、出荷量が著しく多くなった時に、貸切便の運賃の方が安くなるため一時的に依頼する契約をいう。

スポット依頼の場合、必ずしも車両が満載になるとは限らない。
この時、2カ所配送や3カ所配送の「複数カ所配送」を検討していない会社であれば、運賃が削減できる可能性がある。
「複数カ所配送」とは、貸切配送する得意先周辺の別得意先の荷物を積み合わせし、配送することである。貸切配送する得意先はある程度限定されている場合が多いため、その近辺での複数カ所配送候補先を事前にピックアップし、複数カ所配送の採算分岐点を調べておく。
複数カ所降ろしだとチャーター料が割増になるだろうが、通常配送の運賃総額より削減ができればよいのである。
1回あたりの効果金額は少額であっても、回を積み重ねれば、全体の配送費削減に貢献ができる。
また、貸切便の復路を調達輸送に活用し、仕入金額を削減する(仕入先の運賃を削減し、仕入値に反映させる)方法も考えられるので、仕入先の事前調査や交渉も行うとよい。

次に、定期貸切便である。
今回は、毎日配送コースがあるという前提でお話をする。まずは、配送コースの把握から開始する。

毎日配送コースでも、同じお客様へ行く配送と、お客様が毎日違う配送がある。
どちらの場合でも、物流センター出発時間、お客様到着時間、お客様出発時間、納品条件、物流センター到着時間を、毎日、日報として作成する。
可能であれば、物量や納品金額、イレギュラー事項(納品待ち時間等)を追記できれば更によい。
貸切便の状況を把握できる指標としては、「積載効率」「実車効率」があるが、貸切運賃を決定する要件としては「燃費」「拘束時間」「走行距離」等がある。
つまり、毎日の配送の中で1台の車あたりに「出来るだけ多くの物量」「出来るだけ多くの配達件数」を実現するのが貸切便の輸送改革となる。

この配達データを分析すると、さまざまな問題が見えてくる。「出発時間遅延」「過剰配送サービス」「契約終了時間前の配達終了」等がそれにあたる。
出発時間が遅ければ、配達件数が減少する。
配達終了時間が早い日が多ければ、配達件数を増やすために配達地域を見直すか、配達コースを削減するかを考えなければならない。
「過剰配送サービス」は、不採算配送を助長する。
「配送指定時間」「少額売上配送」「棚入れ納品」「長距離配送」等、条件が増えるほど運賃が増加する。
過剰サービスの見直しができない会社も多いが、その過剰サービスの結果として、最終的にはお客様に高い運賃を負担いただいていることになる。
この難しい課題に取り組んでいる企業は、そうでない企業よりも大幅に運賃削減ができている事実を知った上で、社内討議してほしい。

次回は5月24日(金)更新予定です。

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この記事の著者

有限会社SANTA物流コンサルティング 代表取締役社長 / 物流改革コンサルタント Dr.SANTA

平野 太三

昭和38年兵庫県芦屋市にて出生。昭和61年甲南大学法学部卒業。同年某システム会社入社後、物流システム担当営業として、100社を超える物流現場分析に携わる。平成15年に、有限会社SANTA物流コンサルティングを設立。「物流コンサルティング」「講演、研修」「執筆」を開始する。講演参加者数ものべ10,000人を超え、物流マンにわかりやすい具体的な改善手法の提言を行う。
主な執筆:「3カ月で効果が見え始める物流改善」(プロスパー企画)。
物流技術管理士、日本物流学会正会員、ロジスティクスアライアンス委員
有限会社SANTA物流コンサルティング

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