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第39回 物流メンバーの意識の向上
私が物流作業をテーマに講演した場合、10年ほど前までは「作業改革を達成するための手順」を中心にお話をさせていただいていた。
しかし、あるお客様のひと言で、考え方を大きく変えなければならなかったのである。
その言葉とは、「SANTA先生のおっしゃることはよくわかりますが、私の会社は残念ながら決められたことを守らないのです。
この様な状態ではどうすればよいのでしょうか?」。
当たり前のことではあるが、改善策がよくても実行しなければ改善は全く進まない。今回は「物流メンバーの意識の向上」をテーマにお話をしたい。
物流センターを数多く回っていると、改善が進んでいない企業には共通した傾向がある。
それは「挨拶ができていない」ことである。
物流センター内で整理整頓ができていたとしても、「挨拶」ができていない企業は改善活動があまり進まない。
「挨拶」は非常に単純なことであるが、できていない人の教育はなかなか難しい。
日常生活でも普通に挨拶ができないのに、就職して短期間でいきなりできるようになることはありえない。
逆に「挨拶」ができているだけで、よい意味で目立つぐらいである。
この様な場合は、どうすればよいのであろうか。
答えは、こちらから挨拶を続けるしかない。何カ月も継続すると、会釈ができるようになり、次に蚊の鳴くような小さい声で挨拶ができ、最後に大きな声で挨拶ができる様になる。
1年ぐらいの期間を覚悟して進めてほしい。挨拶ができる物流メンバーが過半数以上になれば次の段階に進みやすくなる。
挨拶ができる様になると、コミュニケーションがとれて、会話がしやすくなり、自然と問題点の提起も起こってくる。
余談ではあるが、人員募集する際の募集要項に、「挨拶ができる方」と謳い、はっきりとこちらの欲している人材を示すのも一案である。
職場環境がよくない企業では、「問題があっても提案しない」「決められたことを守らない」「自身の評価が適正でないと思っている」等の問題が山積している。
また、今やっている仕事以上に新たな仕事をしたくないと思っている。
すべてが悪循環になってしまう。
物流メンバーの意識・職場環境で、改善を進める土壌が大きく違うことがわかって頂けたであろうか。
次に改善活動を、自主的に行う段階を目指すことになる。
それを実行し、効果が出れば誉める仕組みを作る。営業が売上目標を達成した時、報奨金支給や昇給するのと同じ様に物流も評価をすべきである。
物流改革は楽しいものである。
自分たちで「問題点を見つけて、改善策をたて、効果が出て、誉めてもらえる」。
従業員のモチベーションも高くなる。
評価基準が公正なものであれば、改善環境は整う。
この状態で「改善知識」を身につければ鬼に金棒である。
次回は2月15日(金)更新予定です。
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