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第6回 物流の問題点の優先順位付け
前回は物流の問題点の出し方を解説した。ちなみに私の経験則では、物流改善がかなり進んでいる企業でも、問題点は小さなものも含めて最低100個はある。物流改善が進んでいない企業では、問題点は200~300個ある。
私は常日頃から「1日500円」の改善ネタを数多く出すことを推奨している。その年間の改善額を計算すると、「1日500円×年間200日=10万円」となる。一般的な物流センターでは、「500円の改善ネタが絶対にない!」と根拠があって言える企業は皆無なのではないだろうか。
例えばパート人件費に換算すると500円/日のコストであればほぼ約30分に相当するから、仮にパートが30人いる物流センターであれば、「1人当たり1日1分の無駄も全くない」ということになるからである。これを証明するのはおそらくできない。なぜなら、物流メンバーの稼働率(作業時間÷勤務時間(休憩時間を除く))は良くて80%程度であるからである。
それだけ細かく見ると数分の無駄が1日何十回と存在する。この500円の改善ネタが100個あれば、10万円×100個=年間1,000万円の改善ができることになる。具体的な解説は今後解説していくことにする。
問題が明らかになれば、次に改善の優先順位付けをする。(下図をご覧いただきたい)
問題を一杯出した後、物流プロジェクトのメンバー個々に点数付けをしてもらう。配点例として、「10点=すぐ改善実行すべきテーマ」「8点=半年以内に改善すべきテーマ」「5点=将来的に改善すべきテーマ」「0点=改善不要テーマ」という様に決めておく。
点数付け時の注意として、「各人個別で配点する(他人と相談しない)」ことを厳守してもらいたい。会議等で1項目ずつ全員の意見を聞きながら点数を入れ込んでいく方が、確かにスピードは速いが、他人の意見に左右されながら点数付けをしてしまう可能性が高くなる。
個人的にはこのテーマを大きな問題と考えていても、「センター長が、問題無いと言っているから、私も点数を低くしよう」と軌道修正をしてしまう可能性がある。まずは、個々に点数付けをしていただきたい。その後、会議でメンバーの率直な考えを把握し、なぜそう思うのかを共有化するのである。
現象・原因を知らずに点数を低くしているのであれば、このプロセスの中で知ることができる。最終的に配点の平均をとり、高い順に並びかえて、調整を加えていけば、全社共通で改善すべきテーマということになる。思いつきで改善を進めるのと違い、この方法を採れば次に何をしないといけないかが明確になるというメリットがある。
次回は6月8日(金)の更新予定です。
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