第14回 在庫改革の進め方(前回の続き)

【2】過剰在庫による物流コストの影響
今回は、「在庫金額が過剰になることにより、物流コストにどのような影響が出るのか」という話をしてみたい。
在庫が多くなることにより増加する物流コストは、「保管費」「輸送費」「物流人件費」等が考えられる。まずは「保管費」であるが、在庫量が増加すると、自(おの)ずから保管費は増加する。
ものが増えれば、保管スペースが必要になるのだから当然である。改善の手法は、後述する。

次に「輸送費」。
本来であれば物流センター以外には在庫を持ちたくないが、在庫量が年々増加すると1カ所では収まりきらなくなる。
その結果、「ストック倉庫」「デッドストック倉庫(不動在庫を保管する倉庫)」を増設することになる。そして、物流センターとストック倉庫間の横持ちが発生する。物流センターが国内に2カ所以上ある企業の場合、バランスよくそれぞれの物流センターで在庫を持つことが望ましいが、実際には難しい。

例えば関東物流センターで、あるアイテムが欠品になり、関西物流センターには少し在庫を持っていたとする。
入荷予定がしばらくない場合、センター間移動を行うことになる。この様に「過剰在庫輸送費」「センター間移動輸送費」が発生するのである。

次に「物流人件費」。
前述した様な輸送に伴うものも含めて、入荷と出荷が発生すれば物流人件費が増加する。また、物流センターでは外部支払物流費を増加させたくないため、出来るだけ多くの在庫を1箇所に詰め込もうと努力をしている。
しかしその努力をしすぎるあまり、棚間の通路が狭くなったり、通路に仮置き在庫をしたりと、物流センターのレイアウトや作業効率が非常に悪くなる。
在庫を減らし、作業効率を意識した倉庫レイアウトに変更すれば、20%程度の作業効率が向上することも少なくない。

最後に「在庫処分関連コスト」も発生している。
「デッドストック」が増加すれば、値下げ販売や在庫廃棄を考えなければならない。値下げ販売をしても利益が確保されればまだよいが、大幅に原価割れ販売をする企業も少なくない。結果として仕入をしなければよかったということになる。「デッドストック」は日の経過とともに毎月の物流コストに加算されていく。デッドストックが発生しない仕組み、発生した時に早く対応する仕組みが必要になる。

次回は8月10日更新予定です。

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この記事の著者

有限会社SANTA物流コンサルティング 代表取締役社長 / 物流改革コンサルタント Dr.SANTA

平野 太三

昭和38年兵庫県芦屋市にて出生。昭和61年甲南大学法学部卒業。同年某システム会社入社後、物流システム担当営業として、100社を超える物流現場分析に携わる。平成15年に、有限会社SANTA物流コンサルティングを設立。「物流コンサルティング」「講演、研修」「執筆」を開始する。講演参加者数ものべ10,000人を超え、物流マンにわかりやすい具体的な改善手法の提言を行う。
主な執筆:「3カ月で効果が見え始める物流改善」(プロスパー企画)。
物流技術管理士、日本物流学会正会員、ロジスティクスアライアンス委員
有限会社SANTA物流コンサルティング

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