第15回 在庫改革の目的

在庫改革と言えば「在庫金額の削減&欠品アイテム数の抑制」とすぐ連想してしまうが、それだけではない。
「適正アイテム数の推進」「在庫精度の向上(実在庫数とシステム在庫数の差異数の低減)」「保管費の削減」「保管効率の向上」も在庫改革の重要な目的である。
詳細の解説は第2章の中で追ってお話しするが、今回は大まかなポイントのみをおさえておきたい。

ポイントの一つ目は「適正アイテム数の推進」である。消費者ニーズの多様化により商品アイテム数は増加傾向にあり、その商品寿命は短い。しかし、新製品アイテム数と廃番アイテム数のバランスをうまくとらないと、在庫アイテム数がますます増加する。
営業部門で、少しでも売れている商品はなかなか廃番にはできないため、この様な現象が発生する。
アイテム数が増加すると発注担当者の業務負荷が増加し、その結果、細かい在庫マネジメントができなくなる。
よって、過剰在庫や欠品につながるのである。

二つ目は「在庫金額の削減」である。少量出荷の商品が増えると、最低発注ロットの関連もあり在庫金額は増加する。
また、発注担当者は欠品を恐れるため過剰発注になり、在庫金額が増加してしまう。デッドストック(出荷する可能性が極めて低い商品)の処分ができないのも一つの要因と言える。

三つ目は「欠品アイテム数の抑制」である。過剰発注になると欠品は少なくなると思ってしまうが、現実的には欠品も発生する。
発注担当者の取り扱いアイテム増により、細部まで目が届かないことが主な原因である。
欠品は売れ筋商品よりも、徐々に出荷量が増加している商品に発生する場合が多い。

四つ目は「在庫精度の向上」である。在庫改革を実現するためには、発注担当者の勘にたよらない発注の仕組みが必要になる。
しかし、現物在庫数とシステム在庫数が大きく違うと、コンピュータを活用することができない。
現物在庫を確認しながら発注するしかない。
この運用であれば在庫があったとしても、何日分の在庫であるかを即座に判断できないため適正在庫数の維持は難しい。

五つ目は「保管費の削減&保管効率の向上」である。在庫改革に直接影響する物流コストとして保管費がある。
本質的には、過剰在庫を削減して保管費を削減することも考えないといけないが、在庫数を変えなくても保管費を削減する方法もある。

また、在庫改革を行うことにより、物流人件費と輸送費が削減されることもよくある。(第14回「過剰在庫による物流コストの影響」参照)。
よって、在庫改革の手段によって、「保管費」「物流人件費」「輸送費」がどのように変わるかを比較しながら考えるべきである。

以上が在庫改革の目的である。
自社の物流で、各目標がどの程度達成できているのか、まず考えてほしい。それがよくわからないのであれば、「見える化」が在庫改革の第一歩である。

次回は8月17日更新予定です。

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この記事の著者

有限会社SANTA物流コンサルティング 代表取締役社長 / 物流改革コンサルタント Dr.SANTA

平野 太三

昭和38年兵庫県芦屋市にて出生。昭和61年甲南大学法学部卒業。同年某システム会社入社後、物流システム担当営業として、100社を超える物流現場分析に携わる。平成15年に、有限会社SANTA物流コンサルティングを設立。「物流コンサルティング」「講演、研修」「執筆」を開始する。講演参加者数ものべ10,000人を超え、物流マンにわかりやすい具体的な改善手法の提言を行う。
主な執筆:「3カ月で効果が見え始める物流改善」(プロスパー企画)。
物流技術管理士、日本物流学会正会員、ロジスティクスアライアンス委員
有限会社SANTA物流コンサルティング

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