ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第2回 中国で現地採用する上での注意点
皆様、本年もよろしくお願いいたします!
第1回目は、中国人スタッフと仕事をする上で感じたこと、心がけてきたことをお話ししましたので、第2回目の今回は、中国人を現地採用する上での注意点などをご紹介していきたいと思います。
現地法人設立の際、中国人スタッフの採用のため、多くの方と面接をしました。その際驚いたのは、これまで働いていた会社の機密情報を持って面接に臨む方がいたということです。これだけの情報を持っているので、高い給料で働かせてほしい、というのが彼らの言い分であり、機密情報を無断で持ち出すことに対する罪の意識は感じられませんでした。
これには、本当に驚きました。と同時に、簡単に機密情報を持ち出させる企業側の環境も問題だと痛感したのも事実です。もちろん、当社においてもすぐに、情報セキュリティ対策を施したのは言うまでもありません。また、今ではシステム的な対策と合わせ、現地スタッフを採用する際、秘密保持契約書を必ず締結し、捺印と署名ももらっています。
採用後の中国人はというと、勤務時間中に業務以外でインターネットを利用しているケースが何度となく見られました。チャットで友達とやり取りをしていたり、ゲームサイトからゲームをダウンロードして、就業時間内に遊んでいたり。また、会社で認めていないソフトを勝手にパソコンにインストールしたりするスタッフもいました。そのため、ネットワークトラフィックを圧迫して、業務上必要なファイルが送ることができなかったり、ウイルス感染してしまったりすることもありました。
また、中国では人材の流動も激しく、ある程度知識がつくと、転職してしまう方もいらっしゃいます。その際に機密情報を持ち出される危険性も危険が潜んでいますし、せっかく育成した人材を活用することができないのは会社にとっても大きな痛手です。
私が担当した日系企業のご担当者様からも、同じような悩みを多くお聞きしました。日本では当たり前の対策が、中国では未整備であることもたくさんありますので、特に注意が必要です。
現在、当社現地法人では、ネットワークの出入り口を通過するログ収集・制御、メールの監視・制御、チャットの記録、URLのアクセス制御、ウイルスチェック・フィッシング対策、外部媒体(CDやUSBメモリ)の制御などを施しています。もちろん、導入や管理に多くの手間や、高額な費用が掛けることはできませんでしたので、1台で上記すべての機能を備えた比較的安価な製品で対策をしております。
この対策が功を奏したのか、現在では業務以外でインターネットを利用するスタッフがおりませんので、ネットワークトラフィックを無駄に圧迫することなく、スムーズに業務が進められています。
また、優秀な人材が長く働いてくれるよう、インセンティブ制度や社員旅行などの福利厚生を充実させるなどの工夫をしています。
また、本コラムのご意見ご感想もお寄せいただけると幸いです。
次回は2月16日更新予定です。
前の記事を読む
次の記事を読む